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Label of the month: Hypercolour
RAのAndrew Ryceが現在UKで最も勢いのあるレーベルの1つを紹介する。
世界で最も人気のあるハウスレーベルを考えた時、頭の中に浮かんでくるイメージは何だろうか?イビザのビッグクラブでのグラマラスなパーティー。世界中を飛び回るDJがこれ見よがしにマイレージのカードを見せびらかす姿。それとも2人の男性がイーストロンドンでガラステーブルを挟んで座っている姿だろうか。「2人の男性」を思い描いたという人は、正解だ。UKのレーベルHypercolourは、Maya Jane ColesやHuxleyの生み出した最もキャッチーで耳に残るハウストラックをここ数年に渡ってリリースしているレーベルだが、その実態はその実績に比べて随分と慎ましい。
ロンドンのDJ/プロデューサーであるAlex JonesとブライトンのプロモーターJamie Russellが率いるHypercolourは2000年代中頃、JonesがブライトンでRussellのパーティーに出演していたことをきっかけに自然な形で設立された。「俺はAlexが自分の音楽を送る相手の1人だった。で、Alexが音楽を作れるから、レーベルをやろうって決めた。Chris Spero(Glimpse)とも仲が良くて、当時の彼は勢いに乗っていたから、最初のリリースは彼の作品にしたのさ。レーベルとしてはいいスタートだったと思う」とRussellが説明すると、Jonesが続けて、「(2006年当時は)酷い音楽がどんどん世の中に出て行っていたから、じゃあ俺たちもやってみようじゃないかって思ったのさ」と捕捉する。
 Alex Jones and Cedric Maison
その後すぐにHypercolourはJones、Shenoda、Tom Demac、Kris Wadsworthなど、レーベルの中心を担うことになるアーティストたちの作品をリリースする。「(Hypercolourは)友人の音楽をリリースするためのハブ的な存在として動き出したんだ。このハブとしての機能は今でも俺たちのレーベルとしての基本理念の1つだね。そしてこの活動が広がって、今はGroove Armadaのような、俺たちのヒーローだったアーティストの作品をリリースできるようなったってわけさ」
最近のリリースは、ディープハウスのメロディックな側面を見せる作品が続いているが、過去の作品群、特に初期の作品群はミニマルテクノやテックハウスなど、広域にまたがっている。Jonesは、「基本的に俺たちが一緒に仕事をしようとしているプロデューサーたちは、1つのフォーマットに固執するよりも色々な方向に興味を持っていたり、自分たちのオリジナルなフォーマットを作ろうとしたりするような連中なんだ。俺たちはある意味先を見越して物事を捉えているというか。俺たちがやっているのはフューチャーハウス/テクノってところだね」と説明している。「以前のリリースは、ちょっとズレてる感じだった。もらう感想も殆どが『アフターパーティーにピッタリだよ』って感じだ。でもずっと続けてきたことが今は報われたと思う。今はそれなりに歴史のあるレーベルになれたからね。リスナーが次のリリースがどうなるか知らなくてもレーベルとして成り立つってことさ」
Russellがレーベルのブレイクに繋がった作品だと語るKris Wadsworthの“Mainline” でさえも、端的に言えば奇妙な作品だ。うめくような声が中心に置かれた繊細なパーカッシブトラックだが、「俺たちの流れを変えたトラックだよ。Krisが本領発揮をしているスピリチュアルなトラックさ。昔のゴスペルシンガー、Mahalia Jacksonが歌っているような感じで、DJツールでもあり、Danny Tenagliaのトライバルな感じもある。Krisが最近fabricでプレイしたんだけど、あえて言わせてもらえるなら、俺にはフューチャークラシックのように聞こえたよ。このトラックで俺たちは他のレーベルと肩を並べることができたんだ。これを続けようっていうパワーを与えてくれたリリースだったね。このレーベルは俺たちが長年金をつぎ込んできたものなんだ。ガールフレンドもフラットも仕事も全て失った。俺たちは美味いビーフステーキを食べる代わりに優れたリミキサーを見つけようとするような人間だ。俺たちにはこのレーベルが最優先なのさ」
“Mainline”のリリース後、Hypercolourは大きな注目を集めるリリースを重ねることになるが、それらの殆どは新人によるものだった。今年2月にリリースされたHuxleyのビッグヒット“Let It Go”は、揺らめくようなポップなメロディー、そしてパワーのあるベースライン、そして絡みつくようなヴォーカルサンプルがフックに競い合うように向かって行くトラックで、レーベルの最近の傾向を見事に表している。しかし、最大のヒットは、Maya Jane Coleの2010年のリリース、“Humming Bird”だろう。これはReal Toneからリリースされた彼女のスマッシュヒット“What They Say”に続く形でタイミング良くリリースされている。
JonesとRussellはColesの2011年のブーム(2012年現在でも続いている)よりも早く彼女と接していたが、既に芽吹きつつあった彼女のキャリアにおいて自分たちがどういう位置づけだったのかはしっかりと認識できているようだ。Russellは、「彼女を発掘したのは俺たちじゃないよ。もう既に彼女のキャリアはスタートしていた。彼女が俺たちに送ってきてくれたデモの1曲に、“What They Say”が含まれていたんだ。正直に言うと、当時俺はイビザに入り浸っていて、完全に気が抜けていたんだ。かなり長い間、このデモをどうするかは話合ったんだけど、最終的にこの曲を選ばなかった。どうしてそうしたのか今でもわからないね。まぁチャンスを逃したってことだ」と振り返っている。
「デモから契約したのはMaya Jane Coles
だけだ」
Russellは、「Mayaにはかなり助けてもらったよ」と認めているが、Hypercolourの面白さは、Colesのトラックのような素晴らしいリリース群もそうだが、サブレーベルなど他にも数多くのレーベルを抱えている点にもある。2012年現在、インディレーベルを抱える人たちの多くが苦しい状況に追い込まれているが、RussellとJonesは実に7つのレーベルを手掛けているのだ。ジャンルやフォーマットは多岐に渡っているが、どれもがHypercolourと同様、彼らの賢明な審美眼を持って運営されている。まずは新人アーティストを試すHype Digital。ちなみにMaya Jane Coleとの関係はここから始まっている。そして、昨年Kevin McPheeの話題作『Blue Organ EP』がリリースされ、今後はマンチェスターのIndigo、そしてシカゴのAmir Alexanderのリリースが控えている、アナログ先行のHype LTDがある。
そして、ピクチャー盤のリリースを重ねるGlass Table(前述のガラステーブルが由来。このテーブルはJonesのリビングに置いてあり、そこでこのレーベルのA&Rが行われている)。「もう何年もあそこ(テーブル)に戻ってきては、色々やっているんだ。クラブに出かける代わりにまるで隠遁者のようにあそこへ帰って、奇妙でスローで、ドラッギーな音楽を聴くんだ」とRussellが説明する。そしてその結果として、Jimmy Edgarの線の細いセックスファンク、そしてスウェーデンのAxel Bomanによるピッチベンドのかかったハウスミュージックなどが、ヘドニズムとヌードに彩られた退廃的なビジュアルと共にリリースされている。「本当に良い製品を生み出すというのがコンセプトなんだ。ディストリビューターは俺たちのことをマジで危ない奴らだって思ったみたいだけどね」とRussellが言うと、Jonesが、「これも完全自腹だよ」と続ける。
また、Russellは最近新たにLosing Sukiを立ち上げている。「Hypercolourよりも少し変わった、ぶっ壊れた感じで、ガラージのような音楽」のためのレーベルだとRussellは説明する。Losing SukiはJack Dixon、James Welsh、そしてLast Magpie(“No More Stories”はMaya Jane ColesのDJ-KiCKSに収録されている)などによる強力なリリースを抱えており、大きなレーベルへと育っている。そしてJonesがSte Roberts、Dave Elkabasと一緒に立ち上げたテックハウスのレーベルInitials、RussellのSpace Hardware(自称「ヘッドフォン用プロジェクト」)と90年代のハードコアに触発されたSneaker Social Club(Throwing SnowとAl Tourettesがリリースしている)もある。
以上の全てが2人によって運営されているのだが、実はこの他にもJonesがMaya Jane ColesやCommixのGeorge Levingsと組んだ匿名アナログシリーズ、N/A.3も存在する。また彼らは新たにブートレッグのアナログ限定のレーベルも立ち上げる予定で、これについては、「あからさまなサンプルが沢山使われているんだ。俺たちがよく聴く曲さ。無視できない存在だからリリースすることにした。TimbalandやTLC、Rolandの“Nights of the Jaguar”なんかを使っている」と説明している。
一体2人だけでどのように運営しているのだろうか? Russellは、「俺は最近Bristolに移ったんだ。会社で働いているわけじゃないから、自分の時間はフリーランスのPRとして働く時間と、レーベルを管理して、全てがスムースに動くように見ている時間に費やされている。1つレーベルを始めたら、全てが機能的に動くようになっていくんだ。全てのプロセスを一通り踏んだ後は、作品を集めて、それらをまとめていくだけだ。Googleカレンダーは俺には欠かせないね」と説明する。

唯一の遅れの原因は、実はJonesのアートワークだと言う。Jonesは、「俺が全てのアートワークを手掛けているんだけど、これが遅れる原因になることが多いんだ」と認めている。しかし、待つ甲斐はあるようだ。Hypercolourでは鮮やかな水彩画(Maya Jane Colesの“Don’t Put Me In Your Box)から、適当な宗教画のような作品(“Mainline”)が用いられ、HYPE LTDのシングルは、楽曲のシンプルさに見合うように無色のスリーブにシンプルでエレガントなラベルがあしらわれたものになっている。そしてLosing Sukiのリリースは乱雑だが複雑に描かれたスケッチが用いられ、Glass Tableは女性の谷間がふんだんに盛り込まれたピクチャー盤だ。
JonesもRussellもHypercolourは基本的には「ロンドンのレーベル」だと認めているが(Jonesは、「メインのアーティストは全員俺の住んでいるハックニー周辺に住んでいる」と指摘している)、レーベルのサウンド自体にロンドンの地域性は関係ないとしている。Russellは、「デモを聴いてそれをリリースするというケースは凄いレアなんだ。基本的には俺たちでアーティストを探す。自分たちの好みがあるからね。俺たち2人にアピールするような音楽を探しているんだ。デモから契約したのはMaya Jane Colesだけだね」と説明する。
しかし、ロンドンがダンスミュージックの中心にあるのは確かで、特にベース系には人気が高い。「ベースミュージック」の世界に足を踏み入れたプロデューサーであるJack DixonやMoscaが最近レーベルファミリーに加わったが、特にMoscaの“Eva Mendes”はHypercolourにおける最大のヒットとなりそうな強烈な作品だ。「ここに来てようやく注目を浴びるようになってきた」とJonesは語る。しかし注目を浴びてもレーベルは冒険的なステップを取り続けるようで、RussellはAxel Bomanの12インチがHypercolourからリリースされること、そしてGeorge FitzGerald、Eats Everything、HyperdubのOssieからもリリースが予定されていると語る。OssieのリリースによってレーベルはUK Funkyのジャンルにも足を踏み入れることになるだろう。しかし、これだけのレーベルと楽曲が、時々他人の手を借りるだけで、本当に2人だけで運営されているのだろうか。その疑問に対し、Russellは以下のようにまとめている。「昔から言うけど、何かを正しく行いたかったら、自分でやれってことさ」
Hypercolour Mix 今月のレーベルショーケースは、Hypercolour、そして数多くのサブレーベルを裏で支えるAlex JonesとCedric Maisonによるミックスをお届けする。各レーベルの未発表音源をふんだんに使ったミックスで、次を担うハウスとテクノを様々な形で紹介している。
Download: RA Label of the Month 1205 Mix: Hypercolour
(右クリックで保存)
Filesize: 184.2 MB
Length: 01:16:46
Tracklist
01. Axel Boman - Klinsmann (Hyperclour)
02. Alex Jones - Higher Level (Hypercolour)
03. Last Magpie - Where Does Love Go (Hypercolour)
04. Amir Alexander - Everybody's Beautiful (HypeLTD)
05. Glimpse & Martin Dawson - Fat Controller [Roman Flugel remix] (Hypercolour)
06. J.Alvarez - 7 Mile Bridge (HypeLTD)
07. Maxxi Soundsystem feat Jack Allsopp - Regrets We Have No Use For (Hypercolour)
08. Mosca feat. Robert Owens - Accidentally (Hypercolour)
09. Ossie - Heartbeating [Vocal] (Hypercolour)
10. Alex Coulton - Function (HypeLTD)
11. George Fitzgerald - Every Inch (Hypercolour)
12. Indigo - Aradia (HypeLTD)
13. Tom Demac - Obstructing The Light (Glass Table)
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Published / Friday, 08 June 2012
Photo credits /
Cedric Maison - Lisa Shaw
Maya Jane Coles - VainePaine
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