その後ドイツ国内のヒップホップ事情に嫌気が差したSebastianは、エレクトロニックミュージックへ方向転換し、サンプリングをハウスへと盛り込み始める。そしてベルリンに拠点を置くWhiteとAimからリリースをした後、デモテープをSmallvilleのボス、Julius Steinhoffへ送り、その結果として2011年後半に“Sweet Sweet”EP、そして高い評価を得たアルバム、『The Story About You』を同レーベルからリリースし今に至る。
このレコードをピックするかどうかについては悩んだよ。というのは、他のレコードと毛色が違うからね。これは僕の父親のレコードなんだ。彼は大量のレコードを持っていて、小さい頃はいつもどれを聴いたら良いかを尋ねたり、自分でそこから探したりしていたんだ。ある程度の年齢の読者なら多分レコードをプレイすることがいかに面白いかは理解できるだろうね。ジャケットを眺めて、ターンテーブルの赤いライトとレコードが回転するのを眺めるのさ。どういうわけかこの”Talk to the People”をかけたことはよく覚えているんだ。
勿論。例えばDamu the Fudgemunkなんかがそうだね。彼は凄くオールドスクールな、サンプリング重視のサウンドだから昔を思い出すけれど、時代遅れな感じが全くない感じで聴けるんだ。サンプリングは沢山の若いプロデューサーたちが用いているテクニックだと思う。サンプルの使用許可の問題は、メジャーレーベルでリリースしようとしている時だけの問題になりつつあるよね。エレクトロニックミュージックの世界でもそうだと思う。
北部ドイツは長い間イギリスの管理下にあったから、ラジオでBFBS(British Forces Broadcasting Service)を聴くことが出来たし、他のラジオ局もいくつか聴くことができた。想像できると思うけど、彼らのかけていた曲は地元のラジオ局とはかなり違っていた。ヒップホップ、ジャングル、エレクトロニックミュージックなんかがかかっていたんだ。でもドイツのNDR4というラジオ局にも1つだけ面白い番組があった。この番組は「Black Traxx with DJ Marius No.1」っていう名前だったんだけど、ある日彼がDJ Krushのファーストアルバムをかけたんだ。DJ Shadowと同じというわけではなかったけれど、似たような感じがあったね。こういった感じで、僕はまずラジオで聴いて、そしてお金が入り次第それらを買おうとしたんだ。
KielにSwiftっていうブレイクダンサーがいたんだ。彼と彼のパートナーStormはブレイクダンスシーンでは結構有名だった。彼は小さな店を持っていて、僕はお金が貯まるとそこへ向かってミックステープを買っていた。ある日、僕が店に行くとそのミックスの1曲がかかっていたんだ。それで僕はお店の人にその曲が何かを尋ねたんだ。その曲はBob Jamesの”Take Me to the Mardi Grass”だったんだけど、そのお店の人、Lutzって言うんだけど、彼は僕が興味を持ったことに驚いて、自分の電話番号を渡してくれたんだ。それである日彼は僕をハンブルグへレコードショッピングに連れて行ってくれた。彼は長年に渡って僕に色々教えてくれたんだ。だからもしこれを読んでいるとしたらお礼を言いたい。ありがとう、Lutz!
Boards of Canada Music Has the Right to Children 1998
そうだね。Warp Recordsが当時の僕には一番大きな影響を与えたレーベルだったよ。Boards of CanadaやAutechre、Aphex Twin、それにFunkstörungなんかがね。彼らは僕がそれまで聴いたことがない音楽をやっていたから。
でもBoards of CanadaやAutechreは実はヒップホップに大きな影響を受けていますよね。
言いたいことは分かるよ。『Music Has the Right to Children』の中のビートが前面に押し出された楽曲のいくつかはヒップホップに影響を受けているよね。でもそれはあくまでそういう面もあるよっていう話で、Boards of Canadaはぼんやりとした空気感にアブストラクトなビートを独自な方法で組み合わせている。彼らのトラックには常に不安定な感じと驚きが詰まっていて、Boards of Canadaのトラックだって分かる。テクノとヒップホップをまたいだ多くの人たちに彼らの音楽が訴えかけることができるのはそれが理由だと思う。
Theo Parrish Overyohead 1999
さて、デトロイトですね。
Theo Parrishだね。誰かに一番影響を受けたレコードはどれですかって訊かれると、僕は長年に渡って色々な音楽を聴いてきたから、難しいなと感じてしまう。数枚だけ選ぶなんて無理だってね。実際今までこうして話してきたレコードの代わりに他のレコードを選んだっていい位なんだ。でも何百回聴いても色あせないこの”Overyohead”のような特別なトラックも存在するよね。
いや、この曲は随分後になってから知ったんだ。僕はゆっくりとハウスへ移行していったんだ。AutechreやBoards of Canadaのようなエクスペリメンタルなビートからクラシックな4/4ビートへゆっくりと移っていった。ハウスやテクノは僕にとって新しかったから、凄くエキサイティングだったな。ヒップホップを始めた時と同じ感じで、とにかくそこに飛び込まなければならなかったからね。レーベルをチェックして、関係性を理解していってね。僕がMoodymannやPépé Bradock、Theo ParrishやSound Signatureなどの大御所を知ったのは2004年位だった。Playhouseも僕にとっては重要だったね。
Azymuth Jazz Carnival (Space Jazz Mix) 1996
このレコードは常にレコードバッグに入っているかな。もう(Global Communication Remixは)何回もかけているから、プレイするのが怖い位なんだ(笑)。でも大好きなトラックだよ。DJセットではスタートにも使えるし、ある程度の雰囲気が出来上がっているならばこれで終わらせてもいいし。ピークタイムにも使えるよね。