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Label of the month: Perc Trax
ある程度存続し続けてきたレーベルがその本領を発揮しようとする時、一体そこには何が起きているのだろうか?RAのRyan KeelingがAli Percと話し、その謎に迫る。
レーベルをとりまく状況がどんなものかは皆さんご存知だろう。ある週のニューリリースをチェックしていけば、あなたは「これは間違いなく良いはずだ」、「昔は良かったけどもう飽きたな」、または「この前の作品は良くなかったけど、とりあえず聴いてみるか」などと言いながらカテゴライズしていくだろう。このような流れに潜む問題は、特定のレーベルと「決別」してしまえば、そのレーベルの音に自分が戻ることは殆どないということだ(これは誰のせいというわけではない。レーベルの数が多いだけの話だ)。しかし、自分の考えを修正するような存在が情報の海からその頭をもたげる時もある。
Perc Traxがいつ急伸したのかをピンポイントで示すことは難しい。このレーベルはPercとして知られるロンドン在住のテクノプロデューサーAli Wellsによって運営されている。2004年に立ちあがったが、ある意味Chris LiebingのCLRと同じで、本領を発揮し始めたのはここ2年程のことだ。多くの先駆者たちの音楽性の変化と同様、そのタイミングは何かに対するリアクションとして訪れたのだが、Wellsの場合の何かとは、自分自身だった。「”Trap Jaw”という俺のトラックがあった。このトラックは2007年から2008年頃に上手くいっていた派手なシャッフルテクノ系の最後の作品だった。色々な理由があってリリースが遅れて、実際にリリースされた2009年には個人的に納得のいかないトラックになっていたんだ。クラブでのリアクションが良かったからリリースしたいとは思っていたけど、結果的に納得はいかなかった。それで俺はもっと実験的でインダストリアルな方向に押し進めて行こうと決めたんだ」
「曲作りのスキルがなかったし、
酷いサウンドのインダストリアルなテクノ
トラックを作るつもりはなかった」
上記のようなサウンドはWellsが音楽活動を開始した時からずっと興味を持ち続けていたものだ。しかし、Perc Traxのこの方向への移行における興味深いポイントは、彼のプロデューサーとしての進化がそこに直接的に反映されているという点だ。「最近のインダストリアルなスタイルは、俺がずっと聴いてきた音楽だ。でもレーベルでこれまでリリースしてこなかったのは、そういった作品を作るスキルや知識を俺が持っていなかったからなんだ。酷いサウンドのインダストリアルなテクノトラックは作るつもりはなかった…。だから俺は自分自身を鍛えなきゃならなかった」と彼は説明する。
Wellsの初期作品は、プログレッシブハウス後期の煌めきを盛り込んだクラブ仕様のテクノトラックだった。2000年代初頭、彼はUKのディストリビューターPrimeで働いていたため、彼の初期作品はPrimateやPrimeval、Premiere Soundsといったマネージメントを担当していた自社レーベルからリリースされていたが、Primeはその後倒産を迎えてしまい、Wellsは自分の作品がリリースできるレーベルを失うことになってしまう。しかし、これによって十分な資金を得ることになった彼は「今までみたいに無駄遣いするのをやめて、レーベルをスタートさせることにした。というより、別にレーベルをやるというアイディアですらなかったな。単純に俺の音楽をリリースしたかっただけだった」と振り返る。
「最初のシングル『Ice Cream for Kenton』は予想以上に上手くいった。Renaissanceのコンピレーションに収録されて、ある程度の金になったしね。それで少し儲かって、アナログのコストも収支が合ったから順調だった。でも次をどうしようって話になった。というのは、俺は1枚リリースして損して終わりだろうって思っていたんだよ。レーベルもストップして、500枚、600枚のレコードをガレージに抱えることになるだろうって。だから2枚目なんて全く考えてなかった」
しかし、最初のシングルが好評となり、またディストリビューターで働いていたことで業界でのコネクションも持っていたWellsにとって、次に続くリリースを用意するのは全く問題にならなかった。このタイミングでWellsは自分の作品のショーケースとしてのPerc Traxというアイディアを変更して音楽的に幅を持たせ、Avus、Good Livin、Paul LancasterなどUKのアーティストたちを中心とした作品を次々にリリースしていく。「このアイディア、つまり特定のスタイルを持たないレーベルというアイディアは以前から持っていた。俺はいろんな音楽が好きだからね。最初のシングルは俺が作ったテクノで、2枚目はもっと壮大で雰囲気のある作品、そして3枚目は何て言うか、こういう言い方はしたくないけどトランスというか、メロディアスな作品だった。こういう風に幅を持たせるのはレーベルスタート時には少しだけ邪魔になったな」とWellsは語る。
このようなある種やりすぎとも言えるジャンルの飛び越え方に関してディストリビューターは異議を唱えたが、初期のリリースは商業的には失敗しなかったとWellsは振り返っている。そしてこのあと数年間に渡り、Perc Traxは様々な側面を持ったレーベルとして続いていき、またデジタルリリースを早くから取り入れた結果、シーンやジャンルを飛び越えた多くのアーティストを抱えることになっていった。「そういう状況になったから、俺が好きな音楽を様々なジャンルにまたがった形でリリースしていくというアイディアは弱まっていって、次第にレーベルの音が固まっていった」とWellsは振り返る。「ジャンルをまたぐ感じは多少残っていたけど、その点についてはかなり慎重に判断していったよ」
レーベルをカテゴライズしようという行動は、プロデューサーたちにも当てはまる。2007年になるとWellsはKompaktとDrumcodeからリリースをすることになった。このことによってWellsはより広いテクノシーンで新鮮な光を浴びることになり、Marcel DettmannやLuke Slater、Chris LiebingなどのDJが徐々にPercのファンとなっていく。そして活動を始めて約10年が経とうとしていたWellsはPerc Traxが大きな転機を迎えていることに気が付く。「単純に核となるアーティストが欲しくなったんだ。アルバムをリリースするというゴールを目指してアーティストを育てたり、レーベルショーケースを行ったり、レーベルとしっかり結びついたアーティストを抱えたりするためにね」とWellsは振り返る。
Ed Rush & Nicoの1997年のドラムンベース”Defect”をPeter Van HoesenとPercがリミックスしたPerc Trax32番についてのRAのレビューでユーザーのchristianludyは「もうすぐPerc Traxはビッグレーベルになるだろうな!」というコメントを2009年の終わりに残しているが、彼のその書き込みのタイミングは完璧だった。このリリースはWellsが自身のルーツを明確にした初期作品のひとつであり、そしてこの書き込みの後数カ月で、Perc Traxのレギュラー陣が固まっていく。
「Perc Traxには一貫した美学がある。
ハウス、テクノ、奇妙なドラムンベースをリリースしてもそこには常に一貫した美学があるんだ」
「本人が表立った行動を取らないから、よく俺が奴なのかとか、別名義だったりサイドプロジェクトだったりするんじゃないのかって訊かれるよ。でも俺じゃない。奴は現実に生きているアテネ出身の人物だ」とWellsは新人Sawfについて説明する。Sawfはいくつかのデジタルリリースをこなしたのちに、その音数が少ないエレクトロ的なアプローチのサウンドが人気を得てきたことを受けて、アナログリリースへとステップアップしたアーティストだ(これはWellsが新人に対して良く取る行動である)。また2010年初頭はUS/UKのデュオDonor/Trusss、そしてForward Strategy Groupとしても知られるPatrick Walker & Smeartという2組の新人もアナログデビューを飾ったが、彼らについてWellsはPerc Traxに今や不可欠な存在になってきているとしている。
UK出身のユニットForward Strategy Groupの2人についてWellsは「彼らはお互い違う音楽のバックボーンを持っているんだ。Patrickはテクノについて膨大な知識を持っているけど、Al(Smear)はノイズやインダストリアルに強い。面白いコンビだと思うね」と語っている。そしてDonor/Trussについては、「Greg(Donor)がニューヨークに住んでいて、Trussがイーストロンドンに住んでいるから遠距離での制作活動になっている。やっている音楽はダブテクノだ。Basic Channelのような純粋なダブテクノというわけじゃないけど、今度出るEPは以前に増してパーカッシブな側面を押しだして、空間系の特徴を少し減らした感じになっている」と説明を加える。

Wellsがこのようにして中核となるアーティストを集めたことがPerc Traxのサウンド面の洗練と成長における決定的な要素になっていることは間違いない。しかし、この方向性がブレイクするのは今年6月のWells自身の作品『Wicker & Steel』であった。このPercとしてのデビューアルバムはWells自身に深く根付いているルーツへ向けた暴力的な頌歌だ。UKのGuradian紙のTony Naylorは「Percの『Wicker & Steel』はこの時代を語るサウンドトラックなのか?」と(Wells自身が抱える僅かな困惑に向けて)問いかける形で本作品を取り上げ、またRAはレコメンドアルバムとして取り上げてNaylorのその意見に賛同した。
Wells本人にとっては、自分自身とレーベルの見事な「第2段階」の基準点のひとつは、アルバムからのファーストシングルを他のアーティストにリミックスしてもらおうと決めた時に生まれたとしている。「俺は”My Head is Slowly Exploding”をリミックスしてもらおうとアーティストたちに送った。Chris Carter(Chris & Cosey, Throbbing Gristle)は『俺はリミックスをそんなにやらないし、少し様子を見たい。もし気分が乗らなかったら断らせてもらいたいね。実際今忙しいし』と言ってきた。でも30分後に連絡してきて、やるって言ってくれたよ。Ancient Methodsも同じだった。以前から知り合いだったけど、彼らは自分たちがやることについてかなり選ぶタイプだからね。こういう形で評価が上がっていくのは楽しみだ」とWellsは語る。レーベルに名前を連ねるという行為がレーベルのバックアップと同意義だということを考えると、Perc Traxは現在のテクノを支えているアーティストたちをある程度ファンとして抱えているということになる。Lucy、Milton Bradley、Samuli Kemppi、Jonas Kopp、DVS1、Marcel Fengler、Dino Sabatiniなどがここ2年の間にこのレーベルに参加している。どのアーティストもレーベルに少し顔を覗かせた程度ではあるが、Perc TraxをWellsの包括的なビジョンと共に前進させるという意味で重要な役割を果たしている。
『Wicker & Steel』はSawfのファーストアルバム『Flaws』に続いてリリースされた作品だったが、「アーティストの育成」というWellsの考えを維持する形で、来年初頭にはForward Strategy Groupがアルバムをリリースする予定になっている。またUKのドラムンベースプロデューサーASCの12インチ(ブロークンビーツ2曲とBPM130の4つ打ち1曲が収録されている)がリリースされる他、ブリストルから実験性の高い音楽をリリースしているEchoplexの12インチがRichard H. Kirk(Cabaret Voltaire)のリミックスを含んだ形でカタログ50番目としてリリースされる。「今のレーベルの方向性を1枚のコインとして考えれば、EchoplexとASCがコインの表裏ってことになる」とWellsはまとめる。「フロア向けとそうじゃない作品のミックスみたいなものだ。BPMは違うしサウンドも違う。でもPerc Traxの美学がそこにはある。ハウス、テクノ、それに奇妙なドラムンベースをリリースしようと、美学は常にそこにあるんだ」
Perc Trax Mix 12月のLabel of the monthのミックスはAli Wells自身が手掛けている。Forward Strategy、ASC、Ben Gibsonなどの作品を含むレーベルのこれまでのバックカタログを繋いだ内容で、レーベルの歴史を支えてきたハードエッジなテクノが詰め込まれている。
Download: RA Label of the Month 1112 Mix: Perc Trax
(right click + save target as)
Filesize: 139.9 MB
Length: 01:01:06
Tracklist
Perc - Choice (Perc's Decision Is Final)
Donor/Truss - Endo 1
Derek Plaslaiko - Raw Jam
Forward Strategy Group - Labour Division 8
Perc - Snow Chain (Drone Tool)
Donor/Truss - Endo 3
Perc - Chromamoan
Sawf - Sfika
Hans Bouffmyrhe - Closed Circuit
ASC - Revelations
Justin Berkovi - Backshredding (Forward Strategy Group Remix)
Forward Strategy Group Remix - Tayo Olowu
Adam X & Perc - Untitled 2
Perc - My Head Is Slowly Exploding (Drum Tool)
Ben Gibson - Span
Mick Finesse - They Sex Machinas (Perc Remix)
Sawf - Zelo (Radial Remix)
Perc - Start Chopping (Tommy Four Seven Remix)
Perc - Pre-Steel (Tengui Remix)
Ekoplekz - Xylem Tears
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Published / Tuesday, 06 December 2011
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