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RA Poll: Top 50 tracks of 2011
RA Poll: Top 50 tracks of 2011

RAが選ぶ今年のトップ50トラック

このリストを改めて眺めてみると、2011年が近年いつになく豊作に恵まれた一年であることがわかる。テクノにおいてベース・ミュージックやインダストリアルが大きく寄与しているとか、ベース・ミュージックがハウスに寄り添っているとか、ハウス側も積極的にベース・ミュージックを取り入れていたとか、今もいろんな意見が聞こえてくる。いっぽう、そんな風潮は関係ないといった風情で自分自身の個性を発揮したプロデューサーもいる。Levon VincentやMorphosis、Peverelistはまさにそういう人たちだ。 これだけ沢山の音楽が溢れている現代、自分が好きだと思える音楽は必ず見つかるはずだ。ただ重要なのは、その音楽のどこに注目するかということだ。これは2011年私たちの間でよりはっきりと浮き彫りになった共通認識でもある。





50. Moodymanc - Black Paint (Larry Heard's After Dark Mix) [Tsuba]
ハウス界のレジェンドによるディープで広がりのある素晴らしいリミックス。

49. Gesloten Cirkel - Yamagic [Moustache Techno]
このレーベルがDavid Vunkが運営するMoustacheのサブレーベルでなければ、我々はきっとこの素晴らしい曲をパーツごとに判読して新たなジャンルの名前をつけていたかもしれない。言うなれば、ハーグのBunkerクルー直系のアナログ・フェティシズムといったところだろうか。シカゴとは違ったジャック感覚を持ったドライヴィング・テクノで前後不覚になったところへ投下されるメロディが鳴らされると、もうこの曲からは逃げられない。髭を生やした男たち、つまりmoustache technoによる傑作だ。

48. Sneaker - You Think You Think [Uncanny Valley]
到底アンセムとは縁遠いトラックだが、ドレスデンの急成長レーベルが放ったまさしく最初のヒット。

47. L.I.E.S. - Comeback Dust (Max D's Big Top Dustheads Mix) [Future Times]
"Cubist house"はワシントンDCのレーベルから飛び出した、混乱しつつも実に魅力的な「キュビズム的ハウス」。

46. Maurice Donovan - Babeh [SSSSS]
以前Ramadan名義が知られていたMaurice Donovanがクラシックを大胆に切り刻み、ハウス風味に仕立てた。






45. Legowelt - Sark Island Acid [L.I.E.S.]
Legoweltによるこのシカゴ色の強いディープハウスはNYのL.I.E.S.からリリースされたが、多くの人が察する通りこのレーベルは個人経営で運営されている。このトラックで聴けるアシッドなベースライン、スペーシーなメロディ、破滅的なパーカッションはまさにこのオランダのヴェテランによる本領発揮といったところで、彼がこのシーンでもっとも一貫した作家性を持ったプロデューサーである事実をより強固なものにした。

44. Clockwork - It's You Again [Hot Creations]
図太いベースラインとドラッギーなダイアログ。これがHot Creationの2011年躍進の鍵だ。これはまさにその好例だろう。

43. Zomby - Natalia's Song [4AD]
幽玄なヴォーカルとシンセで生成されたベルの音色が組み合わさり、今年随一の不気味なトラックに仕上がった。

42. Miguel Campbell - Something Special [Hot Creations]
このUKプロデューサーが放った奇妙なメランコリックさを持った印象的な曲は内省と機能性の見事な共存の賜物だ。

41. M83 - Midnight City [Mute]
この上なく危なっかしいサックスのソロだが、Anthony Gonzalezは見事に料理してみせた。





40. Morphosis - Too Far [Delsin]
レバノン出身のプロデューサーが放ったアルバム中で最も際立っていたインスト・トラック。

39. Cassius - The Sound Of Violence (Franco Cinelli Remix) [Cassius]
Franco Cinelliがアップデートしたこのクラシックは明け方のイビザでピークを飾るアンセムとなった。

38. SBTRKT - Ready Set Loop [Young Turks]
歌もの中心のアルバムに収録されていた、目眩がするようなフロア直撃アンセム。

37. WhoMadeWho - Every Minute Alone (Tale Of Us Remix) [Life and Death]
イタリアの気鋭ハウスデュオが今年放った数多くのヒットのうちのひとつ。

36. Tropic of Cancer - A Color [Blackest Ever Black]
ポストパンク的なRegisによるEPやRaimeのようなリリースを抱えるBlackest Ever Blackは、いわゆる普通のテクノレーベルとは言い難いところがある。こうした前提で考えると、この曲はまさにBlackest Ever Blackからリリースされるのにふさわしい作品だ。ひとたびこの曲を聴けば、これがThrobbing GristleやSuicide、The Normalと初期テクノとの間にあるミッシングリンクを埋めるものであることが分かるはずだ。しかも、この曲は紛うことないキラー・チューンなのだ。






35. Floating Points - Myrtle Avenue [Eglo]
素晴らしき「Shadows EP」に収録の、驚くべき多様性を持ったUK出身の気鋭による静かな嵐のような1曲。

34. Eats Everything - Entrance Song [Pets Recordings]
Dan Pearceによるこのデビュー作は興味深い華やかさに溢れていたが、この曲においては何よりもそのベースが肝だ。

33. Genius of Time - Houston We Have a Problem [Clone Royal Oak]
このスウェーデン人デュオが放った最初のヒットは所謂エディットと呼んで良いのだろうか?それともエディットのエディットといった方が正しいのかもしれない。そのふざけたタイトルが明かしているように、この曲の土台となったのはWhitney Houston "Million Dollar Bill"なのだが、この曲にしても元々はLoleatta Hollowayの77年作"We're Getting Stronger"を土台にしている。その二重構造の意味はさておき、この曲はオリジナル・サンプルの本質的な魅力を引き出し、ドラムを強化し小気味よいシンセラインを足してかき混ぜたものだ。こう書くといかにも簡単な作業に聴こえるが、誰もがこれほどうまくやれるものではない。

32. Dan Andrei - Trebuie Da, Prima Incercare [[a:rpia:r]]
ルーマニア[a:rpia:r]から放たれた実に端正なピークタイム・ミニマルハウス

31. Storm Queen - It Goes On [Environ]
素晴らしいデビューシングルを放った後、どんなものを次にリリースすべきか?それならMorgan Geistがここでやった仕事ぶりは何よりのお手本だ。






30. Tiger & Woods - Gin Nation [Running Back]
Gerd Jansonの秘蔵っ子エディット・デュオによる、控えめでじれったい極上の8分間。

29. Oliver $ - Doin' Ya Thang [Play It Down]
今年のもっとも物議を醸した曲であると同時に、様々な場所でよく聴かれた1枚。

28. Maceo Plex - Can't Leave You [Crosstown Rebels]
2011年におけるMaceo Plexの躍進は2010年終盤の "Vibe Your Love" に始まり、彼自身のレーベルEllum Audioを立ち上げて "Stay High Baby" をリリースしたことで一旦の区切りとなった。この2つのヒットの間にも、彼は多くのヒットを生み出したがこの"Can't Leave You"は最たるものだろう。この曲はその既知の音と未知の音を器用にミックスしているという点でEric EstornelのPlex名義での作品から大いにヒントを得ている。ノスタルジックなドラム・フィルは80sファンを思わずニヤリとさせ、不意にグラインドするベースのノイズはこの曲がただのダンストラックではない事を主張し始める(もちろんダンストラックとしては完璧なのだが)。Maceo PlexとCrosstown Rebels両者にとって今年を代表するアンセムだ。

27. Danny Daze feat. Louisahhh - Your Everything [Hot Creations]
ミュートされたトランペットにArt Departmentっぽいヴォーカルを足せば、今年一番のヒットが一丁上がり。

26. Mathew Jonson - Learning to Fly [Minus]
かつてキャリア最大のヒットを放った古巣MinusにCobblestone JazzのメンバーMathew Jonsonが久々の帰還を果たした1枚。






25. Kassem Mosse - Untitled A1 [Workshop]
"(s)ensuality"と囁くヴォイスがキックドラムや薄気味悪いストリングスとともにただループするだけのトラックと言ってしまえばそれまでだが、何とも抗い難い魅力を秘めている。

24. Osunlade - Envision (Ame Remix) [Innervisions]
ダークでいてソウルフル、そしてオーガニックなプロダクション。この夏最もスケールの大きな1曲。

23. Four Tet - Pyramid [Text]
これほど映像的なハウストラックが他にあるだろうか。これを聴けばFour Tetがクラブミュージックに持ち込んだ衝撃の大きさが分かるはずだ。

22. Peverelist - Dance Til the Police Come [Hessle Audio]
ジャングルにインスパイアされたスウィンギンなポスト・ダブステップ。もしくはブリストルの天才による本領発揮。

21. Session Victim - Good Intentions [Retreat]
ベルリンのシーンでも一際謎めいた存在感を放つSession Victimだが、この曲の親しみやすさはまさしく異例だ。導入部ではローズ的な音色の破片が心地よいサマー・ヴァイブを用意しているが、よくよく聴いてみると水面下では何か奇妙なことが起こっている。幽霊のようにぼやけたヴォイスのせいなのか、曲のキーに潜む若干の寂しさがそうさせているのか、この曲には明るい表面のなかにもどこか複雑な感情を秘めているのだ。7月のそよ風が吹くウェールズでのある午後、この曲を聴いたあるDJが涙を流したほどだ。




Objekt - CLK Recovery
このテクノ・トラックが9分25秒にわたって展開する過程は、まさにスリリングと呼ぶにふさわしいものだ。3分半ほどじっくりと時間をかけながらビルドアップする前半から、その新鮮なインパクトは群を抜いている。かといって、所謂音圧だけで圧倒するようなものではない。このベルリン在住プロデューサーのサウンドデザインとアレンジ能力は素晴らしいものだ。テクノという既に確立されたフォームに依存しすぎたり、はたまた反抗するようなことはせず、Objektはただ淡々とその新たな表現領域を拡げてみせたのだ。

Scuba - Adrenalin
2011年のビッグ・トラックはダンスフロアー以外の場所でも多くの論争を生んだが、Scubaが今年残したただ1枚のシングルとなったこの曲もそのひとつだ。よりルーズでハウス的な彼の新たな方向性を反映したこの "Adrenalin" は8分間におよぶ確固たる反復を軸に、キャッチーなベースラインと細切れになったヴォーカルサンプルが絡む。しかし、このトラックの肝はその不均衡とも言える展開の妙にあり、その3分間にもおよぶ退廃的なブレイクは今年最も印象的なものである。さまざまなかたちで満ち引きを繰り返すシンセはまさに興奮の坩堝に叩き込む。"Adrenalin" というタイトルはこの曲のもつエナジーをうまく表現しているが、同時に我々はこの曲がそれ以上に興奮させる何かが潜んでいる事を知っている。

Benoit & Sergio - Principles
下品なユーモアも一夜限りのものなら悪くはないが、やはりある種の信条と言うべきものは必要だ。この夏Benoit & SergioがDFAからリリースしたシングルには、まさにそれを示すタイトルが付けられていた。 "Walk & Talk" で確立した方法論をよりソング・オリエンティッドな領域に引き上げ、彼らは「ケタミン漬けのベイビー」に直接語りかける。"I can't go back to that ball and chain"と歌うSergioのヴォーカルは麻酔のようなボコーダーに浸されている。決して暗いトラックではなく、はっきりとしたグルーヴと天使のようなヴォーカルがうまく引き立てられている。

Pangaea - Hex
この曲の冒頭86秒はまさに完璧で、まったく澱みがない。若干のトリッキーさを含むリズムも、オーガニックな下地にうまく包み込まれている。それから突然けたたましく挿入される "Buh buh buh buh buh buh buh buh buh kut buh buh buh buh buh buh buh buh buh kut be booooooooooooy be boooooOOOOOOOoy." というヴォイスのカットアップはまさに強烈そのもので、それがこの曲を今年最もエキサイティングなもののひとつにしている。Kevin McAuleyはその後もこの曲で驚くべき展開を当然用意している。今年決して忘れる事の出来ないトラックのひとつだ。

Mosca - Bax
16. Mosca - Bax [Numbers]
ひとりのプロデューサーが1年の間に2枚のEPをリリースして、そのどちらも大絶賛されるなんていうことに僕らはすでに慣れている。しかし、今年Moscaがリリースした「Done Me Wrong / Bax」の2曲はまさしく強烈だった。"RIP Groove"のサンプルを使ったA面も負けず劣らず素晴らしい仕上がりだが、B面の"Bax"における破壊力は群を抜いていると言わざるを得ない。これぞ正真正銘の「スピード・ガラージ」であると言うべきだ。このUKプロデューサーが初めて表舞台に登場したとき、みんながその才能に驚いたものだが、彼の一貫性には改めて驚かされる。

Burial - Street Halo
Burialは新曲を出すごとにいつも大きな話題を呼ぶが、"Street Halo"もまさにそうした期待の中で受け入れられた。EP全体としてはその方向性において大きな転換はなく、かといって誰もそれについて不平を漏らすはずもないのだが、このリードトラックはハウス・コンパーティブルな方向性が強かった今年のBurialの作品("Versus"もその好例)を象徴していて、彼の2ステップ的なグルーヴと崩れた4/4リズムが際立った融合ぶりを見せていた。分厚くアブストラクトなムード、感動的なヴォーカル、怒濤のエンディング、どこをとっても非の打ち所がない。この曲はBurialの論理的進歩を示す1曲に過ぎないが、このリストに彼の名前が乗っていないことなんてあり得ない。

Daphni - Ye Ye
Dan Snaithが手掛けたアルバム『Swim』はCaribouと並んでそのダンスフロアーとの関連性を暗示していたが、今年Daphni名義でリリースした作品はよりその色彩が強くなっていた。Snaithは2月に公開したpodcastからこの名義を使いはじめた。そこで発表された5曲は、この"Ye Ye"に繋がるような予感はほとんどなかっただけに、Daphniとして初のリリースとなった"Ye Ye"の衝撃は凄かった。この曲の凄さはまさにその研ぎすまされたシンプルさにある。ムーグがうねり、力強いドラムと煌めくアルペジオ、小気味よいハイハットが絡みつつ、なによりもこのヴォーカルのリフレインが曲を構成するすべての要素を印象的に引っ張っている。
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Virgo Four - It's a Crime (Caribou Remix)
Virgo Fourの不安定で脆さに満ちた"It's a Crime"はCaribouの手によりヘラクレスの如き力強さを備え、オリジナルが有していたテンションは野蛮でフィジカルな推進力に置き換えられた。当然、最初はそのようには聴こえないのだが、途中アシッドラインが徐々に浮上し、また潮のように引いて行くとトラックの全貌が明らかになる。Caribouの普段の作風に比べるとこのリミックスの仕上がりは異例とも言えるが、このオリジナルが持つ性質をよく噛み砕いた上で彼はそれと同等のパワフルさをこのリミックスに注ぎ込んだ。レトロ風味の仕上がりではあるが、そうと感じさせないだけのパワフルさは特筆すべきものだ。

Benoit & Sergio - Walk & Talk
非現実的で、脳細胞を破壊するかのような強烈なスリルはかつてのGreen Velvetを思わせる。Benoit & Sergioのこの曲に登場する "baby with K"も同様で、この詞のなかで彼女は毎日ケタミン漬けの毎日を送り、それで髪さえ洗ったりもする。こうした題材は、決してジョークではない。かといって、ことさらにドラッグを否定するような内容でもない。"Walk & Talk"がヒットしたことにより、一部の人々はシリアスに捉えすぎているのかもしれない。この曲がこれだけのヒットになった最大の理由は、この曲自体が素晴らしく格好いいものであるからだという事を忘れてはならない。

Noir & Haze - Around (Solomun Vox Mix)
Noir & Haze "Around"のジャケットカバーには "incl. Solomun remixes." という表記が誇らしげに書かれていたが、ほんとはもっと大きく書いても良かったのかもしれない。RAが今年のベスト・リミックスを選ぶとしたらまちがいなくこのSolomunのヴァージョンが1位だろう。オリジナルをスローダウンさせ、お決まりのクリシェをすべて取り払ったこのリミックスは煙の中を彷徨うような若干の恐怖さえ感じさせるが、そのサウンドは一体感があり大胆だ。"What goes around will come around, and come back and getcha…"と囁くヴォイスはまるで野次のようにも聴こえる。オリジナルはややハードすぎるきらいがあったが、Solomunはそれに対し「おい、もっとリラックスしろよ。自分らしくやればそれでいいのさ」と語りかけているようでもある。

Unknown Artist - Sicko Cell
10. Unknown Artist - Sicko Cell
[Swamp 81]
正直に言おう。この"Sicko Cell"をフルで聴けたとしたら、むしろがっかりしてしまうかもしれない。リズムに関しても、取り立てて特別なものは何もない。それは一聴して瞭然だ。メロディ(そう呼べるものがあるとすれば、の話だが)に関しても、とりわけ詩情をかき立てるものでもない。ただ、そこにはヴォーカルがあるだけだ。そう、コカイン・パウダーに関する歌だ。この曲をクラブで聴いたら人々は、この曲が一体何者なのかを必死で探り当てようとした。LoefahOnemanといったDJたちはこのトラックをことあるごとにプレイし続けている。この曲が今年のトップ10入りを果たしたことに何の不思議もない。

Levon Vincent - Man Or Mistress
Levon Vincentはいつだって見逃せない男だ。久々のリリースとなったこの"Man Or Mistress"で、彼は強力なれ0ヴィー・チューンを引っさげて戻ってきた。2009年の大ブレイクの後、Vincentは世界中をツアーしたのちしばらくスタジオに籠った。彼は他の誰にも似ていないオリジナルのサウンドでその幅広い才能を世界に知らしめた。明らかなアンセム性と奇妙なディープさを備え、ルーディでありながらも端正さを秘めたこの"Man Or Mistress"はその中でも傑出した作品である。まさにLevon Vincentは唯一無二の存在だ。
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Martyn - Masks
MartynがBrainfeederからリリースするというこの二者の組み合わせは、最初は意外なものに映った。方やダブステップのプロデューサーであり、方やヒップホップのレーベルと思われていたからそれも無理はない。そしてこの組み合わせから生まれたのはハウスだった。このオランダ人プロデューサーの4/4リズムへの傾倒はこの曲においても如実に表れていて、そのレイヴィーなスタブ、渦巻くようなデジタル・メロディ、驚くほどシンプルなヴォーカル処理も併せて今年屈指の印象的なトラックに仕上がった。5分にも満たない長さのこの曲には、ハウス最良の部分が尋常ならざるインパクトと共に刻まれている。

SCB - Loss
最近行われたRed Bull Music Academyで、Scubaは彼の昨今の作品におけるトランス性の増加について尋ねられた。今年彼の"Loss"や"Adrenalin" を耳にしたリスナーは彼が90年代中盤トランスへ傾倒していた事実は驚きでもあったようだ。彼は「その頃のトランスはすごく良かったんだ。それ以降はクズみたいな音楽の代名詞のようになっちゃったけどね」と語り、さらに「周りが言うほど俺の作品にはトランス性はないと思うけどな。それを言うなら他の人たちがやってる音楽のほうがよっぽどトランス的だよ」と続けた。ともあれ、彼が良質なトランスだけを聴いていたことは幸いだ。

Steffi feat. Virginia - Yours
今年Panorama Barに行ったことのある人なら、この有名なベルリンのクラブの揺るぎないアンセムとなった"Yours"を必ず一度は耳にしているはずだ。オールドスクールなハウス・サウンドが再評価される昨今だが、こうしたサウンドがこれほどまでにぴったりとハマるクラブはPanorama Barをおいて他にないはずだ。この曲で最も素晴らしい点は、その曲が生まれたその背景だ。このベルリン在住の女性プロデューサーの名は、この曲のヒットによりさらに広く知られるようになった。彼女の"Kill Me" は昨年もこのリストにランクインしていたが、彼女がDJとトラック制作の両面に優れた才能を発揮しているという事実はさらに補強されてきている。

Todd Terje - Ragysh
Terje Olseが本格的なプロダクションへ待望の復帰を果たしたとき、それが遅きに失した感があったのも確かだ。4月に彼は5年ぶりとなるオリジナル・リリースとしてRunning Backから「Ragysh EP」をリリースしたが、それはまさしく狂喜とともに受け入れられた。Sven VathからSteffi、そしてSashaまでもがこの曲をプレイし、瞬く間に今年を代表するトラックとして上り詰めた。クラシックなTerjeらしいシンセラインにしろ、DJを虜にするテンポ変化にしろ、どこをとってもこの曲は本物のキラー・トラックだ。

Todd Terje - Snooze 4 Love
2枚連続でTodd Terjeがランクインすることは意外だろうか?実はRA編集部の一部のスタッフにもこれは意外に映ったようだ。このリストは1曲単位でピックアップする形式をとったため、その結果奇しくも同一アーティストの同一Ragysh EPから2曲が並んでランクインすることになった。 "Ragysh" がそのテンポ変化を通してドラマ性を演出していたのに対し、この"Snooze 4 Love"では胸が張り裂けんばかりのポジティブなメロディとステディなビート、クリーンなベースラインに溢れている。彼はNU Discoと呼ばれるジャンルでも最も優れた曲を書ける男だが、同時に彼はこの2曲でNU Discoにはまだまだ開拓出来る表現領域があることを示している。夜が明ける頃にこれほどふさわしいサウンドトラックはない。

Julio Bashmore - Battle For Middle You
"People get up / Stomp your feet / Let's get down"といったヴォイスサンプルを使って曲を作るなら、まさに人々を奮い立たせ、足を踏み鳴らし、一体感をもたせるような強度が必要だ。ブリストルのJulio Bashmoreが放ったこの今年最大のクロスオーバー・アンセムには彼の持ち味であるDirtybird譲りの弾力性を秘めたベースラインと、オールドスクールなリバース・シンセが詰め込まれている。ブレイクも短いながらも曲固有のフィーリングの密度をぐっと高める。Real Scenes: Bristolにおいて、Idle HandsのChris FarrellはBashmoreについて「ハウスには30年近い歴史があるのに、いまでも彼のように若いプロデューサーが入ってきてこのジャンルのなかで自分らしさを示してるんだよね」と語っていたが、このシングルはまさに彼自身の個性が投影されている。

Omar-S - Here's Your Trance, Now Dance!!
この曲にはプロデューサーたちを夢想に駆り立てるフレーズが入っている。このシンセラインのような凄いサウンドが出せたら、誰もが思わず興奮してそこら中で跳び回ってしまいスタジオのスピーカーも倒れてしまうだろう。この曲を作ったとき、Omar-S本人はどんな反応だったのだろう?予想するに、彼はクールにただ肩を揺らしていたのではないだろうか。この片面プレス12インチのスリーヴには「2009年制作」と素っ気なく記してあるが、それはつまり彼が少なくとも2年はこのトラックを練り続けていたという証拠だ。この仕上がりを聴けばさもありなんといったところだろう。重心の低いダーティなトラックから、この曲のようにアンセム的なトラックに至るまで、Alex Omar Smithという男はシーン最良のタレントの1人である事を示し続けている。

Blawan - Getting Me Down

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01. Blawan - Getting Me Down [White Label]
この曲はもともと、ちょっと陳腐な発想から始まったんだよね。大晦日のパーティに遊びに出かけて、さんざん遊んで楽しんでたんだけど、わりと早くに退散して家に帰って、それから一日中PCの前に座ってたんだ。もともと取りかかろうと思ってたあるディスコ・ループがあって、まあその時点ではほとんど手つかずの状態だったんだけど、そこからアカペラを足したりしていじってたら突如ひらめきが降りてきたんだ。結局それから4時間足らずでこの曲は仕上がったんだけど、その作業の中味はほとんど忘れちゃった。

自分が作った曲のなかでもこれはかなりヘンな曲だなと思って、それほど思い入れはなかったんだ。こういうヴォーカル主体の曲は自分らしくないとも思ってたからね。数人の仲間は「いいね、俺は好きだよ」って言ってくれてたんだけど、それ以外は大した反応はなかった。Ben UFOは俺が曲を作りはじめた時から俺の事を気にかけてくれてる1人なんだけど、彼がRinse FMでこの曲を最初にプレイしたときに、誰かがそのストリームからリッピングしてYouTubeにアップしたらしいんだ。そこから、いきなりもの凄い早さでこの曲が浸透して行った。YouTubeにアップされなきゃこの曲はこれほど多くの人には届かなかったのかもしれないね。

この曲は俺自身もよくDJでかけてたんだけど、概ね反応は良かったんだ。まあ、俺自身はセットの流れを作るパーツ的に扱ってたんだけど。でも、僕がこの曲を仕上げて2,3週間でYouTubeにアップされて、すぐに多くの人に知られる事になった。物事が進むスピードの速さは、ときにこれほど奇妙なものなんだね。
- Blawan

Words / RA
Translation / Kohei Terazono
Published / Friday, 16 December 2011


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