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Machine love: Art Department
Machine love: Art Department

人気のカナダ人デュオ、Art DepartmentのJonny Whiteにデビューアルバムの制作プロセスについて話を聞いた。

Art Departmentは彗星のように登場したとしか言いようがない。しかし、Jonny WhiteとKenny Glasgowの2人はそうは思わなかっただろう。トロント出身のハウス/テクノシーンのベテラン2人は90年代、00年代を通じてある程度の成功を既に収めており、その後Art Departmentとして組むことでRAの2010年度ベストトラック1位の”Without You”を生み、そして今年初めにファーストアルバム(共にレーベルはCrosstown Rebels)を生み出したという流れがあるからである。Movement Torinoでのライブを目前にしているJonny Whiteに電話インタビューを試み、2人の制作プロセスや使用しているプラグインについて話を聞いた。







音楽の制作はどうやって学んだの?

1年半程ソフトやシンセについて学んだよ。しっかりとした目的を持って曲を書いたり、それをリリースしたりし始める前は、単純に趣味だった。Connect Fourから最初のレコードをリリースする1年程前から本気で取り組むようになったんだ。

当時使っていた機材やソフトについて教えてくれる?

制作を始めた日からずっとAbleton Liveだね。ハードウェアはそんなに沢山持っているわけじゃないけど、Super Jupiter、Juno 106、Jupiter 8(Jamie Jonesの所有物)、Waldorf Microwave、Moog Slim Phatty、Tetraを持ってる。だからArt Departmentの機材の数は十分揃ってるんじゃないかな。でもスタジオの大半はプラグインで成り立ってる。Kennyは昔凄いスタジオを持っていて、10年程前から曲を作ってリリースしてたんだ。その後この世界から遠ざかってたんだけど、俺がもう一度彼のケツに火を付けたってわけ。

その「ケツに火を付けた」のはいつの話?

(笑)。多分4年前かな。俺が自分のレーベル「No. 19 Music」を始めようと考えてたタイミングだね。それでレーベルを始めようってなったら、Kennyがそのレーベル用にアルバムを作り始めたんだ。彼は11年位使ってるラップトップに古いバージョンのLogicを積んで制作してたね。あの環境から生まれたとは思えないクオリティだったよ。








Abletonを気に入ってる理由は?他のソフトを使ったことがないって言ってたけど、自分の欲求がAbletonで満たされているってことなのかな。

俺はAbletonに何の制限も感じてないんだ。俺にとっては制限されるかどうかってことが他のソフトに移行する唯一の理由だね。Ableton Liveの古いバージョンは音があまり良くなかった。昔のオーディオエンジンはLogicみたいな音を出せなかったよね。でもLive 8になってからは、かなりいい音になったと思う。マスタリングを済ませた段階で聴けば音が劣化していることはまずない。俺は自己流で制作を学んだから、制作方法はメチャクチャだと思うけど、とにかく自分の求めるものは全てAbleton Liveで引き出せる。それがこのソフトを使い続けている理由だね。

制作時に何かトラブルが発生したら誰かに相談したりするの?

Noah Predに相談するね。彼はThoughtless Musicのオーナーで、トロントに住んでる。Abletonの公認インストラクターで、長年に渡って俺に色々教えてくれてるんだ。だから何か問題が起きたらまずは彼だね。後はJames Teejにも相談するよ。この2人はソフトを熟知してるけど、俺はそこまでテクニカルな部分に詳しくないんだ。







持っている機材にWaldorfが入ってたけど、これは興味深いね。

Wardorf Microwaveはもう長年使ってて、ソロ名義の殆どの作品に使われてる。というのは、当時はオールドスクールなダブテクノに影響されることが結構あったからね。当時はかなり前面に押し出して使ってたけど、Art Departmentの数曲、例えば”Vampire Nightclub”とかでは、低い周波数で壊れたキックみたいな音にして、ワンショットで鳴らしてる。あとはArt Department名義の作品のエフェクトや凄く短いスウィープ音も殆どそうだね。

どこかのインタビューでArt Departmentの曲の多くはKennyが最初に制作するって話を聞いたんだけど?

そうなんだ。Art Departmentは基本的にKennyのボーカルが中心にあるし、それは俺がどうこう出来るものじゃないからね。Kenny1人が全ての歌詞とボーカルメロディーを担当している。彼が作ってくるデモトラックはボーカルとベースライン、あとはシンセがちょっと入ってる程度のものなんだ。勿論制作方法が変わる時もあって、彼が全部仕上げる時もあるし、俺が全部作る時もあるけど、大抵の場合はKennyがボーカルとベースラインを作って、俺のところに持ってくるんだ。で、俺がそれをArt Departmentに仕上げるってわけ。

何がArt Departmentの特徴なんだろう?

ベースラインが大きな特徴じゃないかな。でも結局はKennyのボーカルだよ。あとは俺のミックスダウンやアレンジのやり方や、使うパーカションの音色とかもそうだけど、そこは俺のソロ名義の手法と似てるんだ。で、Kennyが作るシンセのメロディーはArt Department以前に彼が作ってた楽曲に凄く似てる。だから基本的にはお互いの特徴を持ち込んでるだけなんだけど、それが凄く上手く機能してるんだよね。

アルバムの楽曲は音と音の隙間が多いなっていう印象だよね。

そうだね。基本的に隙間が多いと思う。全てのサウンドがそれぞれの仕事を果たせるようにしてるというか。これは凄く大事だと思う。俺はサウンドが動き回れる空間を持つことが凄く大事だって常々思っていたからね。ヘッドフォンで聴けば、空間処理にもっと気付いてもらえると思う。全てのサウンドが余裕を持って鳴ってるんだ。

当然アルバムはダンスフロア向けに制作されたと思うんだけど、さっきアルバムをヘッドフォンで聴き直したら、全然違う印象を持ったんだ。

音楽を聴くという行為の中で一番面白いと思える瞬間のひとつは、子供の時に初めてヘッドフォンで音楽を聴いて何が起きているのか細かく追えた時だと個人的には思ってる。初めてLed Zeppelinをヘッドフォンで聴いた時は「ワオ!」って感じだったよ。彼らの空間処理にホントに驚かされたんだ。俺とKennyにとってそこは凄く重要だし、尚且つ面白いと思えるポイントなんだ。







Kennyのボーカルに対して君が何か具体的に作業することはあるの?

大抵の場合、彼が持ってくるボーカルパートは既に彼が望んでいる形になってる。何かを少し足す時もあるかも知れないけど、それはあくまで必要最低限って話で、ほんの少しだけリバーブを足したりする程度だ。彼が渡してくるボーカルの素材はかなり生々しいというか、剥き出しな感触だけど、ただ”Without You”は違う。あれはボーカルのピッチを下げてるし、エフェクトも少し足してるんだ。

“Without You”がヒットした後だったし、アルバムでボーカルをいじらなかったのは意図的だったの?

そう、意図的だよ。”We Call Love”や”Living the Life”なんかはそのままのボーカルの響きが素晴らしいと思うからね。元の声が素晴らしければ、いじる必要なんてない。

アレンジメントの手法について教えてくれるかな。例えば”Much Too Much”なんかは2曲をくっつけたみたいな印象で、凄く面白いよね。

No.19 MusicからリリースされてるKennyのアルバムを聴けば、彼のソロ名義の大半は11分から12分の長さだってことが分かってもらえると思う。でも、2つのトラックが1つになってる感じはあれど、展開が沢山あるわけじゃないんだ。だからArt Departmentでは俺がもう少し展開を加えたんだよ。トラックの各パーツがもっと独立してるというか。例えば”Much Too Much”で言えば、トラックの最後の方に新しいベースラインが入ってくるよね。つまり、12分の曲を作って、全ての音を上手く組み合わせることもひとつの方法かも知れないけど、ダンスフロアでそれが必ずしも上手く機能するとは言えないってことさ。

そういうアレンジをする時はどの位時間がかかるの? どうやって進めていくの?

アレンジはとにかく曲の頭からスタートさせるんだ。Abletonで全体像を仮組みしてからアレンジするようなことはないね。曲の頭からパートを足したりくっつけたりしながら進めていく。だから大抵7~8分で1曲仕上がるな。

じゃあアレンジは殆どライブ感覚で直感的に行っていくっていうこと?

そうなんだ。トラック上で何がどう起きていくべきかを把握するにはそれが最高の方法だね。トラックをビルドアップしながらどこか特定のポイントに来たら、ああこのパートはまだ先だとか、このパートは今ここで鳴らなきゃいけないとかを判断していく。そうやって有機的にアレンジする方法がベストだよ。







君がAbletonを使っているのは興味深い点だけど、パーカッションに関しては凄くクラシックな音色を用いているよね。これは意図的に使っているのかな?

100%イエスだよ。『The Drawing Board』の制作中にひとつだけ自分たちに言い聞かせていたことがあって、それはクラシックな鳴りのアルバムを作ろうってことだったんだ。10年後、15年後にも素晴らしいサウンドだと思えるような奴をね。Daft Punkの『Homework』を目標に設定して、何回も聴いたよ。俺たちに何かを変えてやろうみたいな気持ちはなかったし、変わったことをやってやろうという気持ちもなかった。ただ自分たちが好きだと思える、自分たちがずっと聴いて育ってきた音楽の最高のエッセンスを使って作品に仕上げたかったんだ。パーカッションは簡単に作品をそのレベルにしてくれる。ハイハットのオープン/クローズを凄くミニマルな鳴りにするか、タイトなグルーブにするかで全然トラックに違う印象が生まれるからね。

アルバムで多用した特定のサウンドってある? 特定のドラムサウンド、例えばオープンハイハットとか?

あるよ。勿論オープンハイハットは俺の制作において常に使われてきた音だけど、Art Departmentの制作ではアルバム制作の最後に行くに従って使わないようにしていった音と言っていいね。というのもアルバムの中に使われ過ぎていると思ったからなんだ。アルバムのサウンドに一貫性を持たせるために同じ音色を沢山使ったけど、別にそこに頼り切っていたということはなかった。今はもう少し適当なペースで、スケールの小さな制作を行っているから、色々挑戦したり、違うサウンドを鳴らしてみたりできるね。

アルバムではかなりプラグインも使用したと言っていたけれど、凄く便利だなと思えるプラグインはある?

隠さずに言わせてもらうと、その点については話したくないんだ。というのは、これを読んだ人がそれを試して、僕たちのサウンドを真似ることになるからね。だから全部を言う気はないんだけど、Arturiaのプラグインは大好きだってことは言っておくよ。あとはもうひとつお気に入りがあるけど、まだ誰もその存在を知らないみたいだから、黙っておく。

Translation / Tokuto Denda
Published / Monday, 31 October 2011

Photo credits /
Zach Slootsky


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