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Machine love: D-Bridge
Machine love: D-Bridge

RAがドラムンベース・プロデューサーのスタジオに潜入。シンセサイザーとサンプリングについて語る。

D-Bridge ことDarren Whiteは、いわゆる「思慮深い男」だ。アカデミックな意味の「考える」だけではない。彼のキャリアは、90年代まで遡ることができ、新しいスタイルを瞬間瞬間で生み出してきた。Future Forces Inc時代には、レーベルRenegade Hardwareの元でJason Maldiniと一緒に制作した名曲もあるし、またある時には、Michel WojcickiとDan Steinと結成したドラムンベースグループBad Companyでのヒットも生んだ。現在彼は何をしているかというと、Autonimicの名の下で活躍中だ。

こういった彼の音楽経歴は、特に彼のスタジオにも反映されている。ハードウェアシンセやサンプルを愛しながらも、90年代後半にはデジタル機材をも上手く組み込み、2006年にはラップトップのみを使ってのトラック制作を確立。最近では、Instra:mentalのメンバーであるAlやDamonとの交流を通して、D-Bridgeはスタジオでのレコーディングを軸としている。Instra:mentalのメンバーはドラムンベースの数少ないアーティストの一人であるDarren Whiteに支持、そして意気投合し、ギアはもちろん、曲の構成に即興的アプローチを交えるなどしてDarren Whiteに音楽的な新しい活力を与えている。メロディックでありながら散生としたリッチなアレンジメントは、a podcast, a mix album, a record label, クラブイベントからも感じ取ることができるように、Autonomicはドラムンベースの概念を変えるまでに至っている。



マリファナを辞めた時の話をされていましたが、あれは自身にとって大きなターニングポイントだった?

そうだね。本当に大きなね。

それは音楽的?それとも精神的な面で?

そう…あれって、分かるだろう。マリファナって自分を違う次元に連れって行ってくれるんだよ。創造力を掻き立てるような次元に。確か禁煙した後だけど、最近思ったことがあって。自分がその当時ヤバいと思った曲を聴いたら、そんなに良くなかったんだ。ハッパってその場をとても興奮させてくれるものだけれど、モチベーションを全く与えてくれないものだね。

いつ禁煙されたのですか?

アルバム制作の時だったから、おそらく2007年だね。

2006年のRBMAではインタビューを受けていましたよね。あのときはラップトップ一本というイメージだったのですが、今はほとんどハードウェアを使っているということで。それは何がきっかけだったのでしょうか?

ただ、自分が昔やっていた事をしているだけだよ。Future Forces/Renegade Hardwareの頃も全てそうだったよ。Bad Companyの時でさえね。Bad Company時代、デジタルがプロダクションに介入してきた時だった。 現在Instra:mentalと一緒に作業するようになって本当に助けられたよ。彼等はハードウェアにこだわっていてね。ノブをひねって手で触れる、あの感触がとてもいいんだ。彼等がスタジオをセットアップする感じもね。皆で同時に演奏する事ができる。従来ラップトップでセットアップする時に必要なのは椅子、コンピューター、スクリーンだけ。他の人と一緒に作業を進める時にはお互いの肩を見つめるだろ?コンピューターだけだと制限されるし、コラボレーションをしている気分にならないんだ。

はじめソフトウェアにハマったきっかけは、それが単に新しいものだったからですか?

いや、特に新しくもなかったよ。ソフトウェアはプリセットが必要で、自分の作業したものが記憶される。一方ハードウェアだと、いちいちEGのセッティングの仕方などを写真で取らないといけない。

最近の制作でも、サンプリングは自身の基礎となっているのでしょうか?

そうだね。いつもサンプリングを基本に作業をしていた。ここ5, 6年でようやくシンセに戻っていったんだ。ハマってるよ。シンセに戻ったことによって、自分が本当にサンプリングを基礎としていることを自覚したね。いずれにせよ、自分でサンプリングするのが一番かな。

当初からシンセサイザーのスキルはあったのでしょうか?それとも、ハードウェアに機材を変えたときに、練習したんですか?

いや、まだ練習中だよ。新しいスキルを取得中。

プログラミングする時、スクラッチから始めることが多いですか?

そうする事が多いね。ビートから始めて、そのビートに合うものを添えていく。

シンセで今のお気に入りは?

Korgから発売されている Mono/Polyがお気に入りだよ。とても軽い音なんだけど、それがとてもいいんだ。まだ試行錯誤中だけどね。僕と一緒にレーベルで働いている Consequenceってやつがいるんだけど、彼が色々な機材をスタジオに持って来るから、キーボードだったりが増えてきたよ。

ということは、スタジオを合同で使っているんですか?

そうだよ。彼が最近、Moogerfoogersを2つ持ってきてくれて。他のシンセも持ってくる予定だよ。何が起こるか様子見だよ。そこが Instra:mental と一緒に働く点で良い事だね。ミュージシャンとして確立しているわけではないけど、バンドのような要素があるんだ。なんていうか、あのごちゃごちゃしたノイズがあったり。

セッションはどのような感じでしょうか?スタジオに行って、一緒に一日中ジャミングするといった感じですか?

そう、前はね。大きな範囲で、皆自分の特技を生かせるんだ。Instra:mental そしてBoddika のメンバーでもあるAlは、基本的に打ち込みやミクシングがとても上手で、それを主にスタジオでやっている。彼が作業をしている前で、僕たちが文字通り一日中ジャムを行うんだよ。Skreamが来た時もあったね。ノイズだけが8、9時間も鳴っている、とても良い瞬間だったよ。ノイズだけが続いて、曲にもならなくて。だけど最後の数時間で思わぬ奇跡が生まれて、ひとつになった。ああいう瞬間が僕は大好きでたまらないんだ。

そういったセッションで個人として奪われるものは何ですか?

ギアだね(笑)。僕らはスタジオ、そしてそれぞれの機材を共有して、自分たちが求めるものを一緒に分かち合っているんだ。今、僕自身も少し変わったシンセを15個くらいもっているよ。もし気に入ったのならば「OK、今から取りかかろうか」ってね。アウトボードなダイナミックさが欲しいんだ。コンプレッサーやリミッター、EQのようなね。そんなのに夢中になっているよ。

セッションを通じて得たことは、アウトボードに対する愛情から返ってきた、それが僕たちに与えてくれるものを理解できたことだね。最近、インタビューだか友達とだか忘れたけど、そういったディスカッションをしたんだ。昔のドラムンベースやジャングルシーンでは、クルーがいて、キャンプもあって、独自のサウンドを持っていた。分かるだろう、VirusもFull Cycleも自分たちの音があったんだよ。でも、その独自のサウンドは独自の機材が影響を及ぼしていたんだ。すごい細かい事かもしれないけれど、どんなサンプラーを使ったとか、どんなデスクだとか、コンプレッサーは何だったとかね。 Instra:mentalにはそういった面影が残っている。聴こえるんだよ、彼等には自分たちのサウンドがある。ああいった時代に戻りたいと思うね。

"Autonomic sound”を定義するためのギアはあるんですか?

ひとつのギアに絞るとしたら、Mini Moogが大部分を占めているね。でも、様々なものが融合して音の定義付けが初めて出来るんだと思うよ。例えばAlは、ミキシングデスクとアウトボードコンプレッサーだね。シンセを通してどんなサウンドをチョイスするかで、音が決まってくると思うんだ。







新しいトラックでは制作において、メロディーがメインのスターティングポイントなんですか?

僕個人はいつもドラム、つまりリズムだよ。そこから自分がどんなムードなのかによって曲の進んでいく方向性が決まっていくんだ。

リズムを最初に形成すると言いましたが、ドラムのパートが全て終わるまでは他の作業に移らないんでしょうか?

いや、そんな事はないよ。ただ、フット、スネア、ハイハットのようなベージックなリズムを決めるだけ。そこからレイヤーやコードを足していくんだ。そうしていくうちに、まずブレイクやパーカッションのパターンが決まってくるね。

どのような機材でプログラミングしているんですか?

つい最近は、Native InstrumentのMaschineを使っているよ。1年前に発売されたと同時に買ったんだ。

あなたは曲作りにおいて、実験的にやってみる方?それとも、アイディアを持ってスタジオに入る方?

両方だね。Abletonも使ってるんだ。それもまた最近のことだよ。MIDIエフェクトやコントローラーに関してはすごく気に入っている。あとリズムもね。

あなたにとってリズムとは?

なんて説明したらいいかわからないなぁ。サンプルを様々な視点で見られるところが好きだね。あと、MIDIもベストとは言えないけれど、ドラムを簡単にアレンジ出来たり、おもしろいドラムパターンが出来たりするんだ。Max for Liveも持っているしね。

かなり使っているのですか?

うん、いつも使いこなそうと試みてるよ。とても複雑だからね。色々試してるし、いつかそれで作業したいとは思っているけど…

とにかくやっかい、ですよね?

そうだね、だからのめり込みたいかは分からないかな(笑)。

以前、モジュラースタイルのソフトウェアを使用したことは?

ないね、結構使っている人はいるみたいだけど。前も僕とDramaとで、ゴールドスミスでやってるMax MSPのコースに入ろうか話をしていたんだけど。どうする?やっちゃう?って。これもまた厄介なものだよね(笑)。



「ミキシング作業が大嫌いなんだ」




では、そこから何を得たいのですか?

自分専用のパッチを作りたいね。リズムパッチなのか、音楽に何ら影響のあるものだろうとね。

自分の音が他の人と一緒なのか?という事が頭によぎることはありますか?

そうだね。でも、自分特有な何かが僕のサウンドにあるとは思っているけど。例えば、どんなサンプルを選ぶか、それは僕の音楽を定義するのに大きな部分を占めているね。僕の曲を聴いて dBridgeらしい音だとか言われるけど、一体それが何なのか僕自身でも分からない。でも、自分で歌うことによって、僕のサウンドを際立たせている事はあると思う。他の人が歌っても僕みたいにはならない。けど、エクイプトメントによって音が定義付けされているとは思わないな。MoogにはもうMoogの音が存在しているのだから。

マスマーケットの商品であるシンセサイザーを使っても、独自性を生み出せると思いますか?

わからないなぁ。僕はどの曲にも違いはあると思っているから。無双だよ。僕の意見は間違っているかもしれないし。でもあれはまるで野獣のような存在さ。アウトボードエフェクトを通して使ったりすると、別の次元の音になるんだ。

では、その為に何を使っているんでしょうか?

ベースだよ。サンプリングを幾度も行ってね。実際僕と Instra:mentalはそういう事をやっているよ。モノシンセだからね。マルチサンプリングを行う。パッドとストリングを作ってね。曲の中には、リードとなるパートが最終的にはストリングになったものもあるよ。ベースは驚く程低くするんだ(笑)。

どのようなエフェクターを使用されているんですか?

Eventide Ultra-Harmoniserだよ。プレセットだけでも相当な数があって、まだ全部見きれていないんだ。僕のやりたい事は、サウンドが決まったら録音して、それからデジタル機材で手を加えられるような作業。デジタルエフェクトも加えられるね。だから今現在はアウトボードのエフェクトユニットを持っているけど、色々と手を加えたいんだ。

ミキシング作業はスタジオの中で行うんですか?

そこでやらないといけない事が結構あるね。自分の欲しい機材を持っていなかったりするから。まだ建設途中だよ。コンプレッサー、EQももっと欲しいね。理想を言ってしまえば、Damonくらいのものが欲しい。マルチトラッカーのようにコンピューターを使えるんだよ、彼は。

ミキシングは得意分野に入るのでしょうか?

ミキシング作業が大嫌いなんだ。

本当に?

すっごい嫌いだよ。いつも。







それは何故でしょうか?

得意じゃないから、だね。そう、自分の強みではないから。Consequenceがここに来たとき、僕の曲全てミクシングしようとしたくらいだからね(笑)。彼のミキシングの仕方は好きだよ。自分は凄くないのにヤバいと思う人がいるみたいにね。例えばGoldieは、どうやって機材を使ったらいいかなんて知らない。けど、関係ないんだよ。なんで彼がそういった知識を持つ必要があるんだい?

知っている人にやらせるのが一番。自分のすべき事に集中するためにもね。バンドだってそうだ。バンドだってレコーディングはするけど、エンジニアがいつもいて、バンドに「邪魔だ、どけ」と言うかのごとく彼がミクシングをする。必要があればやるけれど、好きじゃないんだ。

なにか具体的な理由で、嫌いなのですか?

自分がちゃんとミクシング出来ているか分からないから。頭の中で、こういう風に音が鳴ってほしいというのはあるけれど、自分で作れないんだ。多分僕には、何百万もするスタジオやら72トラックのSSLコンソールなんてものは無いから。

Logicが現在あなたのメインのDAWとなっているんでしょうか?

そうだね。

LogicとAbeltonは、作業中どのように使い分けているのですか?

Abeltonはトラックとアイディアを混ぜたもの。けど、全ての編集作業をAbeltonでやるのは好きじゃないんだ。ちょっとしたエフェクトやカッティングは、Logicでやる。Logicとは付き合いが長いからね。



「なんでいつも気合を入れてない曲を
皆気に入るんだ?」




Logicにおけるアレンジメントを終えたそうですが、どのようなアプローチを取っているのでしょうか?

その当時、ソングベースの曲が多かったから、大抵節を作ってからコーラスを手がけていたよ。その二つのセクションで構成されることで落ち着くから、曲の広がりも増したと思う。

セクションと言いましたが、それは具体的にどういう意味でしょうか?

16小節のループみたいなものかな。もう頭の中にあるんだ、このループに載せてどういったメロディーやアイディアを組み込んでいこうかっていう。だから、アレンジする前でさえ、聴いたり成らすこともできるんだ。

曲のアレンジには大体このくらいの時間がかかる、というものがありますか?

いや、そんなに無いかな。各々曲が違うしね。最近では、一日で曲を書いて全て終わらせてしまうなんていう事もある。一日一曲作って、今そうだな、8, 9曲できてるね。あまり考え過ぎずにバイブを感じる。以前皆から好評だった曲を聴いてみたんだ。で、気がついたのは、殆どの曲が最小限の時間で終わらせたものばかりだった。

おそらく一番ビッグだった曲、"True Romance" は、クラブから帰ってその翌日に曲作りもミックス作業も終わらせたものだったんだ。「なんで、いつも自分が力作と思わないものを皆好きなんだ?」と苛ついた事もあったよ。自分のお気に入りが大抵何日も、何ヶ月もかけて手がけた曲だから。凄いものだと、僕のアルバム中の一曲は、何年も掛けて作られたものだし。今でも、掘り出してきては修正したりしてるよ。

よくそのようにする傾向があるんですか?

そうだね。以前使った曲をまた取り出して、ちょっとサウンドを加える。6ヶ月間くらい再び放っておいて、また聞き返したりするんだ。







BPM170が一番落ち着く速度なんですか?

あぁ。170と、その半分の85がHIPHOPの速度で、それが落ち着くBPMかな。やりたい音は作るけど、ただ、その速度の音で育ったのが大きいよね。最近では、エレクトロニカを含めて色々なジャンルの音楽を聴くから、今までと違ったテンポの曲も作ったりするよ。良いものもあるけれど、色々なものをやりすぎて、中途半端にはなりたくないな、とは思っているよ。

ドラムンベースという枠内だけでもまだ色々と知らないことがあるんだ。けど、今歌う事や歌詞を書く事も始めて、そこだけに集中するのが難しくなっているのも事実。自分の歌いたい曲のムードに合わせたテンポ合わせだね。だから今実際作りたい曲がもはや170というBPMに合わないことだってある。

以前は控えめな印象がありましたが、最近は自分の声に自信を持ち始めたのでしょうか?

前に比べたらね(笑)。まだクソだと思ったりするけど。Autotuneとかで自分の声を微調整したくないんだ。まだシンガーとしてのポジションを確立していないと思っているから、ループの中で自分の声を入れることが多いのかも。Logicを使えば、部分省略したりできるし。だからカット&ペーストをかなり使用しているよ。こう、色々な物をひとつにまとめる作業というのかな。自分の歌ったラインを微調整することで、思いがけない出会いに遭遇する。MaldoyneやAutotuneといったロボットのようなエフェクト等は使わない。自分の声を完璧にさせてしまったら、もうそれは自分の声じゃなくなってしまうと思うんだ。

Words / Ryan Keeling
Translation / Yukari Takanose
Published / Monday, 09 May 2011

Photo credits /
Sam Donnison


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