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Playing favourites: David Kennedy
Ramadanmanとしても知られるDJ/プロデューサーと、RAのAndrew Ryceによる思い出の一枚についての対談。
「皆さんご存知David Kennedy〜」という文章で始めたほうがラクなのだが、David Kennedyとしての彼の存在を知らない人は多い。しかし、ここ2年間、「ダブステップ」界での新星として注目を浴びているRamadanmanとPearson Sound(偽「シカゴ」レジェンドMaurice Donvan)としての彼の存在は良く知られていると思う。Davidは、レーベルHessle Audioの創設者の一人でもある。
PangaeaとBen UFOと創設したレーベルを通して間接的に、そして自身のプロダクションを通して直接的に、Davidは、活気に溢れているシーンの中でハウスよりの曲作りを行っている。“Don’t Change for Me”、“Glut”そして “Work Them” (RAの2010年ベストシングル曲でもNo.3に選ばれた) といった曲は、ジャングル、ジューク、ヒップホップそしてダブステップが融合した作品になっていて、Davidは誰よりも先にこういったスタイルを作り上げたといえる。Fabricliveシリーズからリリースされたアルバムでは2つの名義でクレジットが入っているが、David Kennedyとしての彼は、どのように位置づけできるのだろうか?
今回のPlaying Favouritesで選んでくれた作品は、最近のお気に入りではなく、長年通しての彼のお気に入りばかりだ。ここでも彼が所謂気取ったプロデューサーではないことを示唆していると言える。そう、彼のセレクションからは、今年 Field Dayに出演する今日のエレクトニックミュージック・シーンで最も影響力のあるプロデューサーの、正直で素敵な一面を垣間みることができる。
Beastie Boys
3 MC's and 1 DJ
1999
元々ヒップホップ大好きっ子なんですか?
そうだね。昔からヒップホップは良く聴いていたよ。驚く人も多いかもしれないけど、Beastie Boysの作品なんかは大好きだったんだ。9、10歳の時、新しいものには何でも関心があるだろう?親が聴いているものにだってね。僕のいるシーンでは、昔からジャングルばっかりを聴いていたっていう人が多いんだけど、僕はヒップホップとハウスばかりを聴いていたよ。
なぜこの曲を選んだんですか?
彼らの作品でも比較的新しいものが好きなんだ。ちょっとパンクっぽい感じのとか。3MCは本当にリアルな仕上がりだと思う。ミュージックビデオも凄い好きなんだ。当時ターンテーブリストに凄い夢中で、自分ではやらなかったんだけれど、この曲は綺麗にまとまっていると思うよ。MC3人とDJ1人だけでビートが作れちゃうってね(笑)
DJ Shadow
Count and Estimate (Gab Dub)
2000
これは、Fabric CDの発売記念パーティーの一発目にかけた曲だよ。ただ「かけてみようかな?」って思っただけなんだ。立派なサウンドシステムを通して流れるレコードの音は、とにかくCDやらノートパソコンから流れるものとは大違いだよね。とても生々しいヒップホップの曲だしブレイクも多くかかっているし。Solesidesからリリースされたアルバム『Greatest Bumps』からの一曲なんだ。僕にとって、ヒップホップのアルバムの中でベストのものだね。昔は、ヒップホップのビートを作ったりしていたんだ。
本当ですか?リリースされたものもあるんですか?
いやいや、ないよ。僕の作ったものと言えば、ビートとか曲をチョッピングしたものばかりだったし、R&B系のものも作ったなぁ。けど、歳を重ね、経験を積むにつれて自分の曲を聴いてくれる人も出来ると、スタイルが劇的に変化してしまったりするんだよ。
あなたの作品“Working WIth”ではヒップホップへの方向性も見受けられます。
そうだね。けど、あれは、僕が昔好きだったようなダスティーなブレイク系ヒップホップとは全く違ったスタイルだけどね。
Nalin & Kane
Beachball
1997
お店にいるときに、『Euphoria』っていう3枚組のトランス系のアルバムを買ったのを覚えているよ。なんで買ったのか覚えていないけど、レジにいた女の人が「なんであなたがトランスのCDなんか買うの?」って言っていたなぁ。子供の時って突拍子もないことをするだろ?
僕もトランス系のCDを11歳の時に買いました。『The State of Trance 20001』っていうコンピレーションアルバムでしたね。
Yeah, I don't know why kids like that sort of stuff.
トランスには、何か幸福感を感じるからでしょうかね。
Aquaのファーストシングルを買ったのも覚えているよ。当時のチャートに入っていた曲って、結構ダンス系が多かったよね。チャラいダンスミュージックは、クラブでもとても人気だったし。この Nalin & Kaneの曲もそうだけど、他にも色々あるんだ。
こういった曲はよく聴くんですか?
正直そこまで聴かないね。今も好きなものもあるけど、 Nalin & Kaneは結構アップビートで、このボンゴの音がタマラナイね。
この曲のボーカルの音色、ハイピッチなボーカルはあなたの曲にもよく見受けられます。
そうかもしれないね。曲作りの時に「ハイピッチなボーカルを使うぞ!」なんて思ってもいないんだけどね。
この曲はトランスらしくなく、とても緩やかで、バレアリック諸島を連想させますね。
もっとトランスっぽいのも紹介できたと思うんだけど、結局これにしたんだ。
トランスっぽいのは、ちょっと紹介するのは恥ずかしいかなぁと思われたんですか?
別にそんなことはないよ。ただ、とってもダサイ曲の中でもまだマシな方を選んだだけ。これを選んだのも、クラブFabricのRoom 1で回したんだ。何か他とは違う事をしたくてね。僕とBenが朝の5時に回すことになっていて、この曲をかけたらフロアーが可笑しいことになっていたよ。
LTJ Bukem
Demon's Theme
1990
HMVで当時、6、7ポンドくらいで売られていたこのアルバム『 Producer 01』が、そのとき店内でかかっていたんだ。すごいよね、今の音楽シーンと比べるとさ。大きなお店でジャングルやドラムンベースなんて、今じゃ聴けないよね。ただ、店員の一人がこういった音楽好きだっただけかもしれないけど。とにかく、この曲が流れていたときにすぐ店員に何ていう曲なのか聴いたよ。それ以来、こういったサウンドに夢中になったんだ。
ムード感たっぷりの音が昔から好きだったんですか?
Logical Progressionの作品なんかは好きだね。あとはもっとアグレシッッブなものだとJ Majikとか。
曲の制作において、こういった曲の雰囲気を、いわゆるドラマティックな展開なんかを取り入れて試みたりしているんでしょうか?曲の流れやコードとか。
ドラマティックな展開?いや、それはないね。時として、メロディーにドラマティックな展開を加えるのは危険な時があると思うんだ。「この曲は怒りを、ホラーを表しているんだ」とかっていうことはしない。むしろ聴く人によって様々な捉え方が出来るような曲作りに励んでいるんだ。ある人には美しく、またある人には悲しい曲に聴こえるなんていうね。
あなたの曲中に使われるボーカル部分は、とても曖昧な感じで、一体何を言っているか分からない事がしばしあります。
僕は、曖昧さがとても好きなんだ。最近ある「WOUNDED」ミュージックのアイディアが好きで、(Wounded;負傷したような音楽)Burialのアルバムにも“Wounded”ていう曲があるよ。とにかく、メロディーも、ボーカルのアレンジ方法も独特なんだ。
1分にも及ぶイントロから思いがけないようなクレイジーなトリプルサウンドが展開していて、その部分が "Vault"の好きな所だね。とても革新的なレコードでもあって、ホームパーティーでかけてもみんな気にいってくれたよ。
重みのあるサウンドは、この時から好まなくなったのですか?
そんな事はないよ。今も唸るようなベースラインの音楽とか激しいグライム系サウンドも好きだし、こういった音はもう好きじゃないわけではない。昔の方が、こういうサウンドがもたらすスリルを感じられたのかもしれないね。時々、こういった唸るようなドラム&ベースの曲を作るのも楽しいよね。どこまで、おかしなのが作れるか試してみるんだ。
今のPendulumを見てどう感じますか?
何とも言えないね。Pendulumの最近の事はあまり分からないし。昔と変わらないスタイルをやり遂げるのも、新しい事を試みるのもいいと思うし。昔のままだったら、 "Vault"のような作品を十個も作れただろうし、人気だったと思う。けれど彼らは、新しい道に突き進んだんだ。すごい人気だった時代もあったんだけど、僕には誰かをジャッジすることなんか出来ないんだ。彼らは幸せそうだし、インタビューでメンバーの一人が「ドラムンベースとして活動していくのは辛かった、グループとして何かやってみたかったんだ」っていう事を言っていたのを覚えている。今の彼らはとても幸せそうだし、うまくいっているみたい。大きなイベントにも出演しているしね。
あなたのようにポジティブな発言をする人は、これまであまりいませんでした。
良くDogs on Acidベース系ミュージックのネット掲示板)なんかを見ていたんだけど、みんなPendulumが大好きだったのに、いきなり嫌いになったみたい。本人がDoaでいきなり「ドラムンベースのハートに杭を突き刺してほしい」なんて発言もしたりして。彼らは、別にみんなが言った事なんて気にしてはいなかったんだ。こういう結末は、すごい嫌だよね。ダブステップ界隈でも同じような事があったよ。ごちゃごちゃして、嫌になるときもあるけど、いつかは前に進まないといけない時期がくるんだ。やりたいようにやるのが一番だという事だよね。
「ギターミュージック」はあまり聴かないんだ。ギターと、機械っぽい音を混ぜ合わせて使うのが好きじゃないんだよね。だからこそ、注目せざるを得ないっていうのかもしれないな。『The XX』は、すごい話題にもなったし、無視できなかったんだ。今でいうとThe Weekndと一緒だね。周りのみんながひっきりなしに話題にしていたから、僕も聴かないわけにはいかないだろう?とにかく、凄く良かったんだ。曲そのものよりも、曲がもたらす雰囲気が最高だったんだ。アルバムは、始めから終わりまできちんと聴くタイプではないんだけど、XXのアルバムは、ただ部屋でそのままかけっぱなしにしていても良いものだね。気持ちよく聴ける作品だよ。興味を充分そそる、飽きさせないようなエレクトロニックサウンドだ。
ムード感たっぷりなサウンドにエレクトロニックの要素が混じり合っていて、あなたの好みの音と言えますよね?
そうだね。ビートとエレクトロニックなサウンドとの融合だ。僕も含め、Kev PangaeとJoyにも新しい刺激を与えてくれたよ。James Blakeも以前、XXがいなければ今のポジションにいないだろうって言っていたし。インタビューでの会話だったけど。サポートしてくれるDJやリミックスを入れる事で、彼らはインスピレーションになった人達を紹介しているんだ。
曲の構造よりもサウンドなんですね。
彼らの歌詞も好きだよ。Burialみたいな印象を受けるし、僕のインスピレーションにもなっているよ。バンドもやり始めたいなと思っているんだ。
ハウスはあまり聴かなかったんだけど、この曲は僕が夢中になったものの一つだよ。 徐々にテッキーに、そしてハードに、突然ブロークンなものへと移動して行く、 こういったディープでソウルフルなものは、よく僕の気分を上げてくれた。Vinyl JunkiesっていうロンドンのSOHOにあるレコードショップで初めて聴いたんだ。あそこには、いつも新しいリリースや、フレンドリーなスタッフが居て良かったなぁ。土曜のお昼にあそこで集まるだけなんだけど、とにかく良かった。
この曲なんか、あなたよりもよりBen UFOやPangea「らしい」音楽ですよね。
おもしろい話なんだけど、Benと僕は、以前ハウス ミュージックを中心にしたsub.fmっていうのをやっていたんだ。僕の回している曲の中で彼の嫌いなものもあったりしてね。例えば、僕が男性ボーカルのハウス系トラックなんかを巻き戻してもう一回かけたりすると、彼はとっても嫌がったね。今じゃぁ彼はハウス系の人間になっているけど、昔は僕の方がそういう存在だったんだ。あれは、UKファンキーなんかが登場してくるずっと前の事だよ。UKファンキーが登場して、何もかも変わっていったんだ。以前、ダブステップに関するネット掲示板上で、ミックスの時にダブステップからハウスへ移行するにはどうしたらいいかっていうトピックがあったんだ。ただ単に、ダブステップと、それに似たハウス系ミュージックをかければいいんだけどって思うんだけど(笑)。ハウス系のレコードをいれたセットを作れるような時代になって、僕自体のミックスもすごい進化したと思うよ。4, 5年前だったら考えられなかった事だけどね。僕の音楽人生に影響を受けたものをかけられるのは、とても嬉しいね。
ハウス系ミュージックは、Hessle Audioに大きな影響を与えたと思いますか?
そこまで大きな影響を与えているとは思わないね。ハウスらしい曲のリリースはそこまでないし。4つ打ち系は、うちのレーベルのイメージには合わない。前から言っているんだけど、ここ4年以内にリリースするつもりだよ(笑)違ったジャンルをリリースする必要性はあると思うよ。テンポだけじゃないし、テンポの遅めのものもリリースしたりしているしね。肝心なのは、リズムだよ。
Burialの曲の中でもなぜ“Prayer”を選んだんでしょうか?
どれでも選べたんだろうけど、“Prayer”は特にお気に入りの一曲なんだ。曲が出来るまでの過程も知っているからっていうのもあるんだけど、Burialがフィールドレコーダーと一緒に、道ばたにいた男の人をつけていたんだ。それから教会に入り込んだらしいんだけど、彼らが録音したものが曲の中に入っていて、教会に入り込んだ瞬間、一気に雰囲気が変化していくのも音だけで感じられる、あのディープな感覚はたまらないよ。Burialはブリストルのシーンにおいて、本当に重要な人物なんだ。何もかも変えてしまった人だ。
Burialは、本当にインパクトのある存在ですよね。誰もが彼の存在を知っています。例えば、あなたのボーカルの使い方等はBurialの音楽からも影響を受けているんでしょうか?
彼のボーカルの編集の仕方は、注目を受けたよね。みんなが「おい、待てよ。ボーカルのピッチを上げているのに、馬鹿っぽく聴こえないじゃないか?ピッチを下げたり、延ばしたり、チョッピングしたり、ボーカルに自分の伝えたい事を言わせたり、つまり、ボーカルをハイジャックするのはできるんだけどなぁ」って言っていたね。僕もそういう事を試してみたんだ。チョッピング作業を行って、自分で文章を変えてしまったり。でも、作業中に「おっ、Burialみたいな音が出来たぞ」なんて考えたこともないよ。彼の "Archangel" なんかがリリースされた時は、顎が外れるかと思ったよ。僕はその場にいなかったんだけど、Kode9があの曲をかけた時にもの凄く盛り上がったっていう話だ。面白いのはBurialのファーストアルバムが出た後、誰も彼のスタイルを真似しなかったって事。彼みたいな事ができるような、Burialクローンはいないんじゃないかなぁ。
彼のセカンドアルバム がリリースされても真似をする人がいませんでしたよね。.
確かに。なんか、面白いね。興味深いなぁ。
I think Untrueはファーストアルバムに比べて、より他ジャンルの人でも受け入れやすい作品ですよね。ボーカル主体で、ガレージっぽい感じだったし。
でも、ファーストアルバムが出た後、彼のビートやスタイルを真似しようっていう人は表れなかったよね。むしろセカンドから一気にああいったスタイルを真似する人が出てきたとは思うよ。
今では、一つのジャンルとして成立していますよね。「Burial系サウンド」的な。
そうだね。でも、おかしいことに、彼に勝るような人は出てきてないよね。
Quasimoto
Come on Feet
2000
僕にとても大きな影響を与えた人、それはMadlibだね。彼の生み出す音の波や、音楽の質感、とにかく一つの音に色々と注目する点があるんだ。彼の音の扱い方は、本当に参考にしていて、お気に入りは何曲もあるんだけど “Come on Feet” にしたよ。彼のボーカルの使い方がとにかく好きなんだ。
音のレイヤーが幾つも重なっていて、お互い反抗しあっているようで、上手く混じり合っていますね。
オリジナルサンプルを “Quasimodo Meets Himself” っていうミックステープで聴いたことがあるんだ。サンプリングで使用した原曲が60曲入っているんだけど、プロダクションの面で、僕に色んなインスピレーションを与えてくれたよ。
サンプリングという点で、彼から影響を受けた所はありますか?
ある意味影響は受けたよ。サンプリングしたものは昔から聴いているものばかりだよ。影響って色々なものから受けるだろう?住んでいるところ、両親や両親が見せてくれたもの、何をやっているかとかね。そういったもの全てが自分に影響を与えてくれていると思うんだ。例えば、“Humber”は Sven Weisemannの音の使い方を参考にしたよ。
曲を作っていて、他のアーティストの音に似すぎてしまった場合、曲の編成を変えたりするんですか?
そうだね。他の人と同じような曲を作って何の意味がある?僕の音に似たものを指摘してきてくれた人もいるよ。僕の曲にそっくりなんだ。べつに、僕自身に著作権があるわけではないんだけど、最近そういった曲によく遭遇するよ。Ciaraの ”Gimme Dat...”っていう曲とかね。本当、自分の曲を一体誰が聴いているかなんてわからないよね。自分たちが思う以上に、多くの人は「盗む」のが好きなんだ。まぁ、気にしてはいないけどね。ただ自分の曲を作るだけ。同じような音を違ったコンテクストの中で使用していくっていうだけ。いつもインタビューで聞かれるんだ。「あなたが影響を受けた人は?」ってね。本当にバカらしい質問だと思うよ。
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Translation / Yukari Takanose
Published / Monday, 25 July 2011
Photo credits /
S. Reiss
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