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Playing favourites: Frankie Knuckles
Playing favourites: Frankie Knuckles

シカゴハウス界の伝説の男Frankie Knuckles、彼の音楽キャリアの中でも重要なレコードを紹介。


Frankie Knucklesの存在なしに、エレクトロニックミュージックは今の形を成していなかっただろう。ダンスミュージックシーンの歴史上でも重要なレコード、リミックスやDJの裏に潜む人物でもある彼。快楽の洞窟、そうあの伝説的なニューヨークのクラブ、Sound Factoryの舵を取ったのも彼とLarry Levanだ。Frankieがシカゴハウスシーンに残したものは、数えきれないほどある。現在では、25年ぶりにJamie Princpleと再びタッグを組んでハウスミュージックのルーツともいえるレコードを制作。RAは今回、ニューヨーク生まれのDJに、彼のキャリア形成の重要なカギとなったレコードを聴きながらインタビューを行った。



Howard Johnson
So Fine
1982

これはあなたが初めてエディットした曲ですね。エピソードを教えていただけますか?

当時仲の良かったErasmo Riveraがサウンドエンジニアの学校にいて、エディットやカッティングを学んでいたんだ。毎週土曜日の夜、The Warehouse(出来たばかりの頃)で僕は彼のためにレコードを沢山あげたんだ。エディット作業をして授業で提出するためにね。彼にあげた一枚の中に Howard Johnsonの「So Fine」があって、彼は素晴らしいエディットをしてくれたんだ。その一曲をかけたらフロアー中のお客さんがもう一度かけて欲しいと言ったほどだよ。

レコードを渡す度に、彼の腕は益々上がっていった。それが僕にインスピレーションを与えてもくれたんだ。そして僕は家でテープを切り始めたんだ。パイオニアから当時発売されていたオープンリール式テープを背に、ワックスペンシルとスプライシングブロックを使ってね。ターンテーブルの隣に座り込んで、切れるものは全て切った。それからErasmoと僕は The Warehouseではお決まりの一曲だった"Let No Man Put Asunder"のリエディットに取り組んだんだ。僕たちが曲に新しい生命を吹き込んだ、思い出の一曲だ。ニューヨークの Salsoul Recordsからエディットをリリースしたいという話も貰ったんだ。更に僕に一曲全てをリミックスしてほしいとの依頼も舞い込んできた。僕たちのオリジナルエディットは、結局出なかったけれどね。自分だけのものにしたかったから。"Let No Man Put Asunder"は僕がプロとして行った初めてのリミックスなんだ。

編集作業で、ErasmoはRon Hardyも手伝っていたんですか?

ErasmoがRon Hardyを手伝ったことは一切ないよ。誰が言ったか知らないが、それはでたらめだ。

名著‘Last Night A DJ Saved My Life’でのChip E の引用でしたね。

お互いの顔さえ知らなかったんだ。Ron HardyはErasmoの存在は知っていたけど、お互い会った事はなかった。

おもしろいですね。あの本はDJの歴史のバイブルと捉えられたりますから。

じゃぁ、そのバイブルが間違っているってわけだ(笑)いや、Erasmoは僕と一緒にずっと作業をしていたんだ。親しい友人でもあるし、Warehouseには毎週土曜日の夜いつも一緒に行っていた。彼は、サウンドエンジニアの学校に行っていて、エディットを学んだり、僕にいつも頼んでいたレコードのテープをカットしたりしていた。僕が初めてレコードを彼にあげた時だ。彼はRonnyと仕事をした事もないんだ。僕だけ。Ronnyはカセットデッキだけで全ての作業をしていたんだ。Erasmoと僕はリール式テープとワックスペンシルを使ってテープ全てを切っていたよ。Ronnyはそんなやり方を知らなかったし、学ぶ忍耐力もなかったね。

お二人の異なる点とは?あなたは、じっくり作業に取り組んだ方が、より完璧なものができると?

彼の作品を完璧なものにできるのは彼しかいないだろうし、それは僕の場合だってそう。彼の作品は12分と長いもので、僕がいつも着目することっていうのは、曲の中にあるストーリーなんだ。自分の好きな部分だけを抜き取って、ただ12分もの間ループさせることに物足りなさを感じたんだよ。プレイする度に、何か飽きが来てしまって、フロアーにいる人たちも次第に飽きてくる。きちんとしてイントロとアウトロを曲の中に入れる、中盤部分にも少し手を加えて、面白みを加えるんだ。オリジナルとは少しちがったひねりを曲に取り組むと言えば良いのかな。8分もあれば充分、いや8分半かな、最長。それで充分なんだよ。曲中のひと部分が凄く好きだからといって、そこだけ繰り返しルーピングするなんて、ちょっと飽き飽きしてしまうと思うんだ。Erasmoはそういった作業をやっていたよね。勘違いしないでくれよ、彼はそこに彼独自の捻りを加えていたんだから。

彼独自のものとは?

彼は曲の様々な箇所を選ぶ。2小節の場合もあった。カセットデッキを持ってきて、止めたり流したりを繰り返したんだ。ダンスフロアーにいるばあい、単調な曲が12分もかかっていると長いと感じる人もいるはずだ。けれど、彼は、必ずしもいじくったりしなかったんだ。フロアーにもの凄くインパクトを与えただろうし、僕自身も同じだ。あんな12分にもおよぶ曲は15歳の子達には充分だろうな。今もいるけれど、ドラッグに溺れた子供たちにとってはね。25、26歳にとっては、そうはいかない。まぁ、ドラッグに溺れていたら話は別だけどね。



Jamie Principle
Bad Boy (Unreleased Mix)
2010

そのレコードのデモミックスがこちらになります。

どうやって手に入れたんだい?

Rush Hour とTraxから再リリースされたものです。

そうみたいだね。まぁ、僕には関係ないんだど。

何か機嫌を損ねてしまったみたいで、すみません....

ははは、大丈夫だよ。

このミックスですが、Jamie Principleによるオリジナルのデモミックスなんでしょうか?

いや、僕のオリジナルプロダクションだ。もう長いこと聴いてないなぁ。

Jamie Principleとのスタジオ作業に興味があるのですが。

当初スタジオ作業を二人でする事はなかったよ。作ったもの全部を僕の所に持ってきて、プロデューサーになってくれないかって頼んできたんだ。彼には、誰かのプロデューサーになんてなったことはないって伝えたんだ。「”First Choice”とか凄い好きなんだ。僕の曲をベストな状態に作りあげてくれるのは君しかいないんだ」、そう彼は言い続けたんだよ。「わかった、やったことはないけどそこまで言うなら、そのチャンスにかけてみようか」「よかった」そんな感じで全てが始まったんだ。

Princeの真似をよくしていたね。彼はPrinceの大ファンだったんだ。名前もJamie Prince-ipleだから。彼の考え方は、Princeそっくりだったんだ。中心よりも左よりな考え方、左翼っぽいというか、社会的メッセージが彼の音楽の中には含まれていたんだ。

Jamieが曲を書くと、一曲のアイディアが本一冊分の量になってしまうくらいなんだ。何枚ものページに歌詞がぎっしり書かれている。自問自答のようなもの、その間に曲のメインにもなるものがあったり、あのメモ帳は彼の考えでいっぱいだった。一見支離滅裂に見えるんだけど、彼にとっては、書かれているもの全てに一貫性があったんだ。”Baby Wants To Ride”のオリジナルには、ものすごい量の歌詞が含まれていたんだ。

Jamie Principleの作品を初めて聴いた時のあなたのリアクションは?

実はあの曲を作った時、僕は既にJamieをスタジオに連れ出して録音させた時だったんだ。シカゴ郊外に小さなスタジオがあって、そこで僕は "Let No Man Put Asunder"もミックスしたんだ。以前と違って、レコーディングをするにあたって、この曲とどういう風に向き合っていくべきか分からなかったんだ。まわりにも手伝ってくれるエンジニアがいたんだけど、それがフラストレーションでもあった。僕が表現したかったものを、どのように彼等に伝えるべきか分からなかったんだよ。

でもベストはつくしたよ。全てのセッションが終わって、 "Waiting On My Angel"の作業が終わったあとにエンジニアの一人に言われたんだ。「お前と作業すると、フラストレーションがとても溜まったよ。でも、君は欲しいものが分かっていたんだな。今聴いてみると」って。まぁ、彼等はロンのレコードを指していたんだと思うけど(笑) 

とてもドリーミーで美しくて、すぐに気に入ったよ。「わお、僕が作ったんだ」というよりも、曲に僕も囲まれたっていう感じかな。Jamieの当時の恋人Lisaに送った曲だ。彼女はとても綺麗で若い女の子だったよ。

JamieのLisaに対する愛、あの感情をリアルに感じられる作品なんてまずないよ。最初、そんな事を感じているのは僕だけだと思っていた。でも、Powerplantでプレイした時、皆もそう感じているんだろうなと思った。

レコードの裏に潜む女性がいたとは知りませんでした。とても素敵な話ですね。

彼が”Your Love”を書いただろう。あれはLisaっていう女の子についてなんだ。だからこそTraxに曲を奪われたことは、ちょっとほろ苦い経験なんだ。僕とJamieから曲を盗んだも同然だからね。彼等が僕たちの楽曲を奪って、我が物顔で使ったんだよ、あの馬鹿野郎どもが。おっと、失礼。個人的な思い入れもあるから、とても悲しいんだ。こういう事があったから、今全て現実のものになっているんだよね。「もうこの曲に住む子はLisaではない。でも歴史的な事を言えばあれはLisaだったという事は肯定しようじゃないか。」ミュージシャン、そしてプロデューサーとして、願わくばLisaと彼が感じた事を他の誰かもおなじ様に感じてくれたらと思うんだ。

とても興味深い話です。Traxから酷い仕打ちを受けたというミュージシャンの話は良く聞きますね。商業的な部分もそうですし、あなたのように、個人的な部分も。

Traxと共同契約した覚えなんて全くないんだ。Traxから発売された僕の音源には絶対にサインなんかしないよ。僕の作品ではないんだから。サインをお願いしてきてくれた人の中には怒る人も、残念がる人もいるけど、理解してもらいたい。奪われたものにサインなんてしたら、その事実を受け入れてしまう事と一緒だよ。

そういった事を気にしない人もいるよね。サインが欲しいだけって。申し訳ないけど、僕は気にするよ。それと、Jamieの事を気にかけてもいるんだ。むしろあの作品が彼にとってどんなに大切なものなのか凄い気にしているんだ。あれは、彼とLisaのとても純粋な愛を表現したものなんだ。自分がそういった経験を少なくともしているのなら、敬意を払うべきだよ。



The Black Science Orchestra
Where Were You?
1992

この曲を何回聴いたか想像できませんが…

Sound Factoryのテーマ曲みたいなもんだったよ。土曜日の夜、"The Whistle Song"、"I'll Be Your Friend"、"Where Love Lives"、"The Pressure"、 Those Guysの"Tonight" 、Black Science Orchestraの"Where Were You" この7作が 「The House Sound of New York」を形成していたんだ。この7曲があれば素晴らしい夜が過ごせる。僕にとってのお気に入りの曲でもあるよ。Ashley Beedleは本当に良い仕事をしていたね。

Sound Factory時代がダンスミュージックのピークだったと思いますか?

あぁ、そう思うよ。Sound Factoryは伝説的なクラブだった。Paradise Garageのお手本、David MancusoのLoftやNick SianoのGalleryのお手本でもあった。サウンドシステム、そしてダンスフロアがSound Factoryのすべてだった。余分なものはなかったよ。部屋中が真っ黒に塗られていて、そこに巨大なサウンドシステムがあったんだ。

フロアには自分とサウンド、そして黒い空間。本当に素晴らしかった。暗闇の中で音が見えるんだ。聴いてるものが映像を生み出す。そんな所に夜から昼までいたら、音楽が心の中に入ってしまうだろう?体にそして心に染みた音楽がクラブの外を出ても未だ残っているんだ。あの一曲が気になる。あの一曲のために、レコードショップを駆け巡る。何ヶ月も待たないといけない事もあるし、その曲とは二度と出会えないかもしれない。でも分かってるんだ、あそこでしかあの曲に出会えないことを。



Hercules & Love Affair
My House
2011

ハウスミュージックシーンに僕が一体何を残したのかあんまり分からなくて、プロデュース、そしてリミキシングの作業を辞めてしまった。90年代後半は、ハードハウスやトランス、テクノが流行の最先端になって僕は音楽作りへのインスピレーションを失ってしまった。だから曲作りも一旦やめて、時期を待つ事にしたんだ。プロデューサーとしての自分が注目されていないように思えたんだ。

でも、プロダクションから遠ざかるごとに、自分の体調も崩れていった。そんな時に Hercules & The Love Affairが "Blind"のリミックスをしないかって提案してくれたんだ。彼等は、DefMixみたいな音を作ってくれと頼んできた。冗談かと思ったよ。DefMixのようなサウンドなんて全然流行っていなかったから。ミックスをしてほしいという彼らの意欲は伝わったし、僕は病気だった。だから挽回のチャンスだと思ったね。僕の状態が良くなるまで待ってくれるとも言ってくれたんだ。

体調が良くなるとすぐに、再び音楽の道へ戻った。六ヶ月も待っていてくれた彼等に今更出来ないなんて言えなかったしね。Eric Kupperにプログラミングなどの作業を任せたよ。レコードが発売された時、僕はギリシャにいて、リリースされていたのも知らなかったんだけど、会う人皆にリリースについて聞かれたよ。驚いた。長い話を短くするとそんな感じだ。Hercules & The Love Affairには本当に感謝しているよ。僕の愛の傑作だ。

これは、初期のシカゴシーンでも重要なトラックですね。あなたも深く関わった時期でもありますが、このような復興についてはどう思いますか?

こういった質問ってよくされるんだ。そういった時に思い出すのは僕が子供だった時に親によく言われたこと。「あぁ、私たちもこういう事していたわね。昔もあったわよ、こういうサウンド」つまり歴史は繰り返すっていうのかな。インパクト大な曲はどれかだって?新しいバージョンが良いものもあるよ。昔の人が曲に入れたオマージュを僕も入れるって言う感じだ。悪いとは思わないよ。

そのようなサウンドをまた聴いてみたいですか?

僕がしようとしていることではないけれど、そう君に聞こえるだけ。でも僕のやっていることではない。どうやって音楽を作るかだ。ははは、ごめん、ちょっと分かりにくい回答だったかな。正直に自分の気持ちを答えているだけなんだけど。

正直に話していただいて嬉しいです。

音楽作りは長い間やっている。Jamieもそうだ。彼独自の作詞方法があって、僕の音を想像をして作っているんだと思うよ。だから僕に見せてくるんだ。僕は音楽に出来るだけ正直にいたいと思っているよ。



The Strikers
Body Music
1981

あのレコードのインスト版は、ボーカル入りよりも全然良いと思う。ボーカルなしでも成立してしまうレコードってあるだろう?あれはそういったものの一つなんだ。

この当時のPreludeのインストミックスは、ダブのようなミックスですよね。この作品は Francois K. やLarry Levanも作りました。あなたちの親交は深いと思いますが、彼からからどういった影響を受けましたか?

僕ができたらな〜って思うものを彼はプレイしていた。若い時、大親友がやっている事を見て「くそ、一体どうしたらそんな事ができるんだ?クレイジーだし、何やってるんだよ?」という感じになって、あぁ、同じ事をやればよかった。チャンスがあったのにやらなかったんだと。でも、今になるとそれは彼しか出来ないものであって、それと平行して自分にしか出来ないものも存在するんだと気がついたよ。

うわ!っとあなたを思わせるような瞬間がありましたか?

Larryが究極のDJと呼ばれる理由は、彼は本当に何でも回すからだよ。真夜中に Orchestral Manoeuvres In The Darkの "Dancing"をかける。とってもかっこいい曲なんだ。とてもエレクトロニックで、この世のものとは思えないほど美しい。サウンドシステムを試すのにもとても良い一曲で、部屋中をかき巡るような音なんだ。ああいったものを彼はSylvesteの "Mighty Real"みたいなものの後のかけるんだ。お客さんの興奮の波を整えると同時に自分自身もそこに吸収されていく。もし、ドラッグなんて取っていたら、戻ってこれないよ。彼はそういった事をするやつだった。僕はもっとプレイの中に登場する音楽の旅を意識するかな。聴いている人に伝えたいことを音で発信するんだ。

世界でも最も偉大なDJとして称えられている理由がそこにあると?

音楽に夢中な人間だったら彼の存在を無視なんて出来ないよ。でも今の人は違うのかもな。彼は曲全てをミックスするようなやつじゃないから。ミックスしたとしてもそれは完璧なものでもないんだ。重要なのは、流れる曲が一体何なのかって言うこと。僕にとってそれは今も重要な事だよ。ミックスっていうよりも、何を流すかっていうこと。それが特別な人と平凡な人の差異を生むんだよ。

Translation / Yukari Takanose
Published / Monday, 23 May 2011


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