1960年代にロバート・モーグ博士によって考案され、それ以降70年代にかけて本人が修正を重ねたこの「減算合成方式」は、ハード、ソフト問わず、現在入手できるシンセサイザーの大半に用いられています。最新のシンセはプリセット音が充実していますが、優れたミュージシャンたちは、新しい自分だけの音色を作成することは、音楽的な個性を得るに等しいということを理解しています。この記事では、「プリセット音のその先」まで突っ込み、減算合成方式の基本について解説していきます。そして皆さんが自分だけのサウンド作成に向かうきっかけになればと思っています。

サウンドの基本

全ての楽器は、サウンドの「ピッチ（音程）」、「トーン（音色）」、「ボリューム（音量）」の3つの要素を変化させることが可能ですが、同時に各楽器はその物理的特性に左右されます。言い換えれば、各楽器において、バラエティ豊かなサウンドを得ることは可能ですが（例えばバイオリンを弓で弾くのと指でつま弾くのでは音色が異なります）、バイオリンはトランペットの音は絶対に出せないということです。この2つの楽器は全くの別の方法で作られ、演奏方法も異なるというのがその理由です。

それに対し、減算合成方式の概念は、「物理的な特性に左右されずに、ほぼ無限にサウンドを作り出せるシンセサイザー」というものです。これを理解するには、まず楽器によって生み出されるサウンドの聴こえ方、つまり音響的な特性について考えなければいけません。ピアノの前に座り、鍵盤をひとつ鳴らしてみます。この時最も大きく聴こえるのはあなたが叩いた鍵盤のサウンドで、このサウンドで、ド（C）だ、ソ（G）だと音程を聴き分けることができます。しかし同時に、主要なサウンド、つまり「基本周波数」の他に別のサウンドが色々混ざったもの、つまり「倍音」も聴こえるはずです。音程と周波数（単位はヘルツ。Hzと表記されます）は同義ですし、ミュージシャンは音程については音階（ドレミファ…）で表現する場合が多いですが、今回は数学的なアプローチで、倍音がどのように生まれるのか理解していく方が良いでしょう。鍵盤のC3（ド）の上、A3（ラ）は専門用語ではA440と表記されます。これは音階としてのAとその周波数が同時に表記されたものです。そして倍音とはその名の通り、その周波数が「倍」で鳴っている音を指します。つまり、A440の場合、880Hz、1760Hz、3520Hzなどが可聴できる倍音ということになります。440の倍数というのは計算しにくい数ですので、今回は周波数100Hzの音で考えてみましょう。その場合、倍音は200Hz、300Hz、400Hz…ということになります。大抵の楽器の場合、倍数が大きくなればなるほど、その直前の倍音よりも音量は小さくなっていきます。生楽器の場合、単音を弾けば大量の倍音を生み出すことが可能ですが、どの楽器だろうと、その倍音から基本周波数だけを抜き出してみると、全ての楽器が一緒の音に聞こえます。つまり、言い換えれば、サウンドに特徴を与えているのは、倍音部分ということになります。バイオリンがトランペットのサウンドを鳴らせないのは、両楽器が生み出す倍音の幅が全く違うからです。また、2台のバイオリンを弾いてもそれぞれ違うサウンドに聴こえますが、その2台とも「バイオリンだ」と認識するのに十分な倍音構成を共有しています。

[注釈]
五輪マーク内
オシレーター
サイン波、ノコギリ波、矩形波などの各波形は、基本周波数と倍音の組み合わせのバリエーション。

フィルター
カットオフで明るさ、レゾナンスで「ビヨビヨ」感をコントロール。ハイパス／バンドパス／ローパス。

アンプ
ボリュームに関するコントロールを全て行う。

LFO
コントロール用オシレーター。上段3つのセクションを変化させるために使用する。

エンベロープ
アタック、ディケイ、サスティン、リリースでサウンドに時間変化を与える。

人工の音：オシレーター

では、今までの話が音声合成とどのように繋がってくるのかという話をしていきましょう。あらゆる合成音の基礎成分はオシレーターと呼ばれるもので構成されており、これが倍音の組み合わせを決定します。読者の皆さんは、ノコギリ波、矩形波、三角波などという言葉を聞いたことがあるかも知れません。これらは基本周波数の組み合わせによって生まれるもので、それぞれが異なった倍音構成をしています。

このような音声合成は、自然界には存在しない波形を生み出しますが、生楽器の場合は、減算合成方式シンセサイザーで見られるような「整理整頓された倍音構成」にはなっていません。そしてこれこそが「なぜシンセサイザーは本当の楽器の音を真似することが不得意なのか」ということを説明するポイントなのです。つまり、バイオリンの音が欲しいと思っている読者の方は、バイオリニストを見つけるか、サンプルファイルを使用すべきだということなのです。そうではなく、「自然界に存在しない新しい音を、無限に作りだす」という領域へ進みたいという読者の方は、この先もお付き合い頂けたらと思います。

では、「減算合成方式のシンセサイザーは、一体どうやって音を生み出すのか」という点について簡単に理解してもらうため、音楽とはあまり関係ありませんが、オリンピックの「五輪」画像を使って説明してみましょう。御覧の通り、減算合成方式のシンセサイザーには5つのメインセクション（モジュール）が存在します。この図ではピッチ／トーン／ボリュームという3つの不可欠な要素をコントロールするモジュールを上段に、そしてその他の追加機能をコントロールする2つのモジュールを下段に配置しました。この下段については後で説明します。さて、皆さんも予想していたかもしれませんが、オシレーターセクションが第1セクションで、左上に配置されていますが、ここでサウンドが生み出され、ピッチが決められます。サウンドを出すごとに、基本周波数と倍音がひとつのサウンドとして生成され、オシレーターのタイプを変えることで、サウンド自体がどう変化するかを試すことができます。

サウンド的に最も基本的なオシレーターは、サイン波でしょう。これは倍音を全く含まない基本周波数だけのサウンドで（生楽器には生み出せません）、サイン波以外の波形は全て基本周波数に倍音を足したものです。減算合成方式のシンセサイザーの中には、複数のオシレーターを組み合わせて、より太く、より分厚い音を生み出すことが可能な機種も存在します。さて、これでオシレーターが何かは理解して頂けたでしょう。つまり、ある倍音構成を含む波形を他の倍音構成を持つ他の波形と組み合わせた場合、倍音構成の数が増え、それが組み合わさった形で、より豊かな音として再生されるというわけです。

Logicに付属しているES1は典型的な減算合成方式のシンセサイザーです。下部のスクリーンショットでは、ES1のどの部分が、オリンピックの「五輪」に相当しているかが確認できます。ES1の上部にはオシレーター、フィルター、アンプセクションが、そして下部左にはLFO、下部右には2つのエンベロープが搭載されています。

1: ES1には、「Wave」、「Sub」と表記されているオシレーター2基が搭載されています。両方ともに独自の波形を持っており、Mixスライダーで両オシレーターの混ざり方を調整します。

2: フィルターには、4種類の強度を持つローパスフィルターが搭載されており、上部のカットオフで明るさを調整し、下部のレゾナンスでカットオフ周波数の音量を増幅します。

3; スプリット型のボリュームスライダーで、最小ベロシティと最大ベロシティを設定することが可能です。

4; LFOの波形を左側から選択し、右側でスピードを決定します。中央のボタンからLFOを送るパラメータを選択し、その横の緑色のスライダーを上下させて、LFOの分量（アマウント）を決定します。

5:アタック、ディケイ、サスティン、リリースのスライダーです。デフォルトでは音量に時間変化を与えます。

6:その左側では、マトリックスからパラメータを選択し、アタックかディケイを選択することで、選択したパラメータに変化を与えます。

トーンコントロール

では何故このようなシンセサイザーが「減算合成方式」と呼ばれるのでしょうか？　もしオシレーターを組み合わせる場合、サウンドは「減少」するのではなく「増加」します。確かにそれは正しいのですが、「減算合成方式」とは、オシレーター部分の処理を指して言っているのではなく、むしろその後のセクションにおける処理を指しています。五輪マークの上段の中央、フィルターセクションは、トーンをコントロールしますが、このセクションからサウンドが「減少」し始めるのです。

減算合成方式のシンセサイザーのフィルターで最もよく見られるタイプは、ローパスフィルターです。これは倍音構成の高音部分を「取り除き」ます。例えば、倍音の塊がオシレーターからトランプの山のような状態で発振されたとしましょう。この場合、基本周波数は一番下のカードになります。ローパスフィルターは、カットオフダイヤル／スライダーを使って、この山を2つに分けるのです。カットオフダイヤルの数値が低ければ低い程、より多くの高音の倍音が取り除かれます。ここまで読んで、「果たしてフィルター自体必要なセクションなのだろうか？」と考える人もいるかもしれません。つまり、倍音構成が少ない音が欲しいのであれば、オシレーターを選択する時点で倍音の少ない波形を選べば良いのでは？という疑問です。しかし、トーンコントロールという機能は音楽制作において非常に重要なパートを担っています。倍音のコントロールが、サウンド自体を「濁らせる／明るくする」唯一の方法なのです。カットオフでは、同時にどれだけ多くの倍音を聴けるかを決定しますので、カットオフ周波数を上下させることで、上記のような効果が得られることが実感できると思います。

減算合成方式のシンセサイザーのフィルターに関しては、マルチモードタイプが搭載されている場合がよくあります。このタイプではローパスフィルターは数あるフィルタータイプの中のひとつということになり、ハイパスやバンドパスなども選択できるようになっています。ハイパスフィルターは、カットオフ周波数よりも高い倍音を通過させるフィルターで、バンドパスはカットオフ周波数周辺の倍音を通過させますが、その数値よりも高い倍音、低い倍音、両方ともにカットされます。

この3つのフィルタータイプは、サウンドのトーンの変化に大きな自由度をもたらしてくれますが、これにレゾナンスを加えて更なる変化を加えることも可能です。レゾナンスはかなり不思議な機能で、カットオフ周波数のボリュームを増幅させます。まず、カットオフ周波数を高中低のどこかに指定し、その指定した周波数のボリュームをレゾナンスが増幅させるのですが、レゾナンスを高く設定した場合に変化は顕著に現れます。レゾナンスは明るいサウンドをより明るくさせたり、基本周波数より少し上の周波数を強調することで、例えばベース音をより豊かで丸いサウンドに変化させたりすることが可能です。

これを実際に聴いてみましょう。ローパスフィルターを選択し、レゾナンスを0に設定、そしてカットオフ周波数を一番低い周波数から一番高い周波数まで回してみましょう。その後レゾナンスを同様に7割程度まで回してみましょう。そうすると、すぐに独特のビヨビヨとしたサウンドが聴こえるはずです。また、カットオフを低周波数に移動させれば、ベース音は柔らかみのあるサウンドへと変わっていきます。

LogicのES Mはオシレーター1基に簡単なフィルターとアンプがついたシンセサイザーで、音色の合成について学ぶには最適なシンセサイザーです。ここでは自動で変化するフィルターがサウンドの明るさを変化させています。

アンプとモジュレーション

五輪マークの上段の右、3番目のセクションがアンプセクションです。初期のアナログシンセサイザーは、実際にアンプを通さないとそのサウンドが聴けなかった電子楽器でしたので、ボリュームに関する全ての機能がアンプセクションに組まれたのは理解できます。最近のシンセサイザーにはそれ以外の機能もこのセクションに含まれている場合があります。例えばエフェクトやディストーションなどがその例です。また、ここはベロシティコントロールの出力先になっており、鍵盤をどんな強さで押したかによって音量を変化させます。つまり、ボリューム関係をコントロールしているということは、アンプセクションを変化させているということになります。

以上のオシレーター、フィルター、アンプが3つの必要不可欠な要素であり、基本的なサウンドはこの3つのセクションだけで作り上げることができます。しかし、シンセサイザーという存在は、本物の生楽器の機能を再現するためにデザインされた機材だということを思い出してください。これを考慮すると、この3つのセクションだけでは、生楽器の演奏者が当たり前のように感じている演奏機能が不足しています。簡単に言えば、音符ごとに、静かなサウンドから大きなサウンドへ変化させたい場合（クレッシェンド）、この上記の3つのセクションだけでは再現することはできないということです。同様に、バイオリニストのように、強くかかったビブラートをすぐに元に戻すような効果を得たいと思った場合も、オシレーター、フィルター、アンプだけの組み合わせだけでは得ることが出来ません。このような効果を得たいという場合のために、減算合成方式には2つのセクションが追加されています。それがLFO（ロー・フリークエンシー・オシレーターの略）とエンベロープセクションであり、この2つは五輪マークの下段2つに相当します。

NIのProphet 5は、オシレーター2基、各セクションに組み込めるLFO、フィルターとアンプ用の独立したエンベロープなど、他にも沢山の機能が搭載されています。

LFO

さて、皆さんはオシレーターについてはもうお分かりになっていると思います。基本周波数とそれに付随する倍音の組み合わせ、そしてその倍音の組み合わせによって異なった波形が生まれます。さて、LFOも同様なのですが、こちらの場合は通常のオシレーターとは違い、不可聴な存在です。LFOの音はアンプセクションには繋がっていませんし、要するにこの波形は「無音」ということです。読者の中には、何故このような機能が役に立つのか？と思う人もいらっしゃるかもしれません。そうです、「聴こえない音」に意味はあるのか？という疑問です。このLFOを理解して頂くためには、また別の例えが必要となりますが、その中で一番良い例は「風」でしょう。風が非常に強い日に外に立ってみましょう。風は実際には見ることは出来ません。大量の空気分子が移動しているだけです。しかし、その見えない風が周囲に与えている「影響」は見ることができます。葉や木の枝が揺れ、水面が波立っているのは皆さんの目で確認できるでしょう。

LFOも風と同様です。波形自体は不可聴ですが、オシレーターやフィルター、アンプセクションに組み込んだ時に、その姿を見事なまでに現します。ノコギリ波が増減を繰り返すLFOを考えてみましょう。オシレーターはピッチをコントロールするセクションですが、このオシレーターセクションにLFOを組み込むと、LFOがピッチをコントロールするソースになります。つまり、サウンドを発音させるとLFOの効果を受けてピッチが上下するようになり、ビブラート効果が生まれるようになります。

LFOには3つのメインパラメータが存在します。波形、レート（スピード）そして、分量（アマウント）です。このパラメータを変化させることで、ビブラートの効果が劇的に変化します。ノコギリ波の場合は、音程が上下にスムースに変化しますが、矩形波の場合はある音からある音へ中間部分を挟まずにいきなり変化します。またレート（スピード）はその名の通り、ビブラートのスピードを調整するもので、分量（アマウント）はLFOの効果の大きさを調整します。少量に設定した場合は最初のピッチに僅かな変化を与え、大量に設定した場合は、激しい変化を得ることになります。

LFOにサイン波を選択すれば、分量（アマウント）とレート（スピード）の調整で、自然で細かいビブラート音から大きな「パトカーのサイレン」のような効果を簡単に得ることが可能です。そして当然ですが、LFOはピッチ以外にも使用できます。この概念さえ理解していれば、他のセクションに使用することも可能です。例えばフィルターに組み込めば、トーンコントロールのソースとなり、音色が明るくなったり、元の濁った音に戻ったりを周期的に行うことになります。また、LFOをアンプセクションに組み込めば、静かな音から大きな音へと周期的に変化することになります。減算合成方式のシンセサイザーの中には、2基以上のLFOを搭載している機種も存在します。ですので、各セクションに対して異なった波形とレート（スピード）、分量（アマウント）を設定してコントロールすることが可能ですが、基本概念はどれも同じです。

ES2は非常に柔軟性の高い減算合成方式のシンセサイザーです。オシレーター3基、フィルター2基、様々なアンプオプション、エンベロープ3基、そしてルーターセクションでは、様々なモジュレーションソースとターゲットを選ぶことが可能です。

エンベロープ

最後のセクションはエンベロープです。一般的なタイプにはアタック、ディケイ、サスティン、リリースという4つの独立したコントロールが付属していて、これらのコントロールは、時間経過とともに音がどう変化するかを決定します。この概念はボリュームの変化に使用した時が一番分かりやすいでしょう。まずは何か生楽器を頭に描いてください。例えばスネアドラムを叩くと、その音は瞬間的に大きくなり、その後すぐに消えてしまいます。これは音がサスティン（持続した）とは言えません。では、バイオリンを弓でゆっくりと静かに弾き始めて徐々に音量を上げ、その後ゆっくりと1秒以上かけて無音に戻す、もしくはそのまま音を止める場合を考えてみましょう。シンセサイザーのアンプセクションではこのようなボリューム変化を生み出すことはできません。通常では鍵盤を押せば音が鳴り、離せば音が止まってしまいます。さて、ここでエンベロープの出番となります。LFOと同様、五輪マークの上段3つのセクションへ組み込むことで、その動作に時間的な変化を加えます。

エンベロープの4つのコントロールのうち、3つについては、音量変化に使用すると、その名の通りの働きをします。アタックは無音状態から最大音量になるまでのスピード（時間変化）を調整します。リリースはその逆で、鍵盤から指を離した後、無音に戻るまでのスピード（時間変化）を調整します。そしてサスティンは、サウンドが発音されてアタックとディケイを経過した後、どの程度の音量で鳴り続けるかを決定します。そしてこのディケイに関してのみ、少し説明が必要です。ディケイとは、サウンドが発音されてアタックを経過し、最大音量に到達した場合、そこから音量が下がってサスティンレベルに到達するまでのスピード（時間変化）を調整する機能です。例えばアタック5秒、ディケイ5秒、サスティン50％に設定されていた場合、ディケイはきちんと機能しますが、もしこのサスティン100％に設定されていた場合、ディケイは機能しません。何故なら、最大音量から最大音量へフェードするというのは意味がないからです。

LFOと同様、エンベロープも音量以外に適用することが可能です。もしピッチを変化させたいのであれば、オシレーターセクションにエンベロープを組み込めば可能ですし、トーンに時間変化を加えたいのであれば、エンベロープをフィルターに組み込みます。高機能な減算合成方式シンセサイザーでは、複数のエンベロープが搭載されており、柔軟性が増しています。また同クラスのソフトシンセでは、マトリックス、もしくは専用のルーティングセクションが設けられており、どのコントロールソースがどのパラメータに接続されているか、またその効果がどの程度なのかを確認することが可能です。以上、5つのセクションについて説明してきました。五輪マーク上段の必要不可欠な3つのセクション、そして下段の2つのオプションがあれば、無限にサウンドを作成することが可能です。自分だけのサウンドをより複雑で洗練されたものにしていきましょう。

LinPlugのMorphoXは、2つのシンセを内蔵しており、モジュレーションホイールを使用してこの2つのシンセを切り替えて使用することが可能です。両シンセともに減算合成方式が採用されています。

Audio: Synthesis technique オーディオ：シンセ音作成テクニック

1: LogicのES Mでノコギリ波を選択し、フィルターを全開にした状態です。これがシンセの基本中の基本のサウンドです。
2: 同じ設定ですが、オシレーターが矩形波に変更されています。
3: ここではノコギリ波のベースラインが、カットオフダイヤルで変化するローパスフィルターの開閉を通過しています。そのため、音の明るさが変化しています。
4: 同じカットオフの変化ですが、ここではレゾナンスが加わっているため、「ビヨビヨ」感が増しています。
5: NIのPro-53による基本的なノコギリ波のパッドサウンドです。
6: 5番と同じサウンドですが、矩形波を2つ目のオシレーターとして加えています。異なった倍音構成の2つのサウンドがひとつのサウンドとして鳴っています。
7: 矩形波のオシレーターにはファインチューンダイヤルが搭載されていて、これによってデューン（Detune）を行い、より太い音を生み出すことが可能です。2つめの倍音が微妙にチューニングからはずれています。
8: アンプ・エンベロープのアタックタイムが遅く設定されているため、各サウンドはゆっくりと立ち上がります。リリースタイムも遅く設定されているため、各サウンドはゆっくりと減衰します。サウンドはパッドのような音に変わっています。
9: LFOをノコギリ波に設定し、オシレーターにルーティング。ピッチが波形に合わせて変化するようになります。
10: ここではLFOをローパスフィルターのカットオフ周波数にルーティングして、ワウペダルのような効果を得ています。
11: 3基全てのLFOを使用し、それぞれに三角波、ノコギリ波、矩形波に設定しますが、これら全てはぶつかりあってしまいます。オシレーター2基とフィルターに通した場合、ピッチとトーンは一定になってしまいますが、微妙にランダムに変化しています。
12: サウンドを最初から作ってみましょう。ノコギリ波を使って、フィルターを全開にします。
13: 2番目のオシレーターに矩形波を割り当てます。
14: 3番目のオシレーターに、1オクターブ上（12セミトーン）の小さなパルス波を加えた矩形波を選択します。
15: ローパスフィルターを使用し、徐々にレゾナンスを強めてサウンドを重くします。
16: エンベロープ2をフィルターのカットオフ周波数にルーティングします。これによってサウンドがプレイされるとトーンが下がっていきます。ディケイタイムの操作でこのスピードを速くしており、サウンドにシャープな効果を与えています。
17: アンプのリリースを長くして、各音の持続時間を少し長くします。
18: 最後にLFOを設定して、フィルターのカットオフ周波数にルーティングします。これによってサウンドはLFOに合わせて音色が「明るくなったり、暗くなったり」します。1小節のタイミングに合わせてあるため、周期はトラックのテンポと同期していています。